「中学生」の可能性を120%引き出すために親と教師ができることのすべて
クリス・バーム(著), 塩野明子(訳)
| 定価 | 2420円(税込) |
| 頁数 | 400頁 |
| 判型・製本 | 四六判 並製 |
| 発売日 | 2026/09/03 |
| ISBN | 9784862763662 |
| 発行 | 英治出版 |
内容紹介
◎「中学生」は難しい時期ではなく、可能性に満ちた「魔法の時期」
親や教師の言うことを素直に聞く時期が過ぎ、学業や友達関係での不安、家庭内での対立、心身の成長/バランスの乱れなど、新しい悩みが出てくる中学生の時期の子育て/教育。さらには中学・高校受験の時期とも重なっているこの時期は、親として子を充分に理解できずに心配する一方で、「反抗期ってこういうものだよね」「進路のためには仕方ないよ」と受け入れてしまい、積極的に手を差し伸べることをしていない大人も多いのではないでしょうか。
しかし、SEL(Social Emotional Learning)やPBL(Project Based Learning)を積極的に取り入れることで注目を集めてきたアメリカの「ミレニアムスクール」共同創設者にして校長のクリス・バーム氏によると、子どもから大人へ変化していくこの中学生の時期は、実は多くの力と可能性を秘めた魔法の時期。この時期の子どもの心身に何が起きているのかを理解し、それに沿って充分に成長できる環境を整えることで、子どもの可能性を引き出すことができると言います。
◎親、教師、地域が中学生に向けてできることを、完全網羅
本書は、脳神経科学、心理学、発達科学の観点から中学時代に子どもが経験する心身の変化──クリスさんは、急流をラフティングで下っていくことに例えています──をPart1で解き明かし(3つの問いと、3つの発達段階はなるほど納得でした)、Part2で親としてできること、Part3で教師・学校・地域としてできること(Part3)を具体的に、かつ網羅的に指南していきます。たとえば、上記の「積極的に手を差し伸べない」は、第8章で「大人が陥りがちな3つの落とし穴」のひとつ「存在を消してしまうこと」として指摘されています。
最後に言及すべき落とし穴は、彼らの生活からいなくなってしまうことです。これは、今までよりも自由にできるスペースを与えようとよかれと思ったことが行きすぎてしまった結果であることもあります。また、子どもたちの反抗や、終わりの見えない口論にいら立ち、恨みを持って消えてしまうこともあります。いずれにせよ、これは問題です。
仲間といたいと思う一方で、思春期の子どもたちは依然として大人を強く必要としています。ただ、今までとは異なる方法で必要としているのです。ロールモデルとなる健全な大人の存在が必要なのです。時には、涙を流すときに肩を貸してもらいたいと思うこともあるでしょう。ほとんどの子どもたちは、自分自身の発見と成長のための最適な環境づくりにおいて、支援を必要とするでしょう。
◎問われているのは、「大人の変容」
こうした具体的子育て指南なら他にもありそうですが、本書には、他の子育て本・教育書と一線を画するポイントがあります。それは、「中学生の子どもをサポートしたいなら、まず大人から変わろう」という点で終始一貫しているのです。それは、親や教師自身が成長し、新しいことにチャレンジしていく姿を見せることが、10代の子育てに非常に重要であるということももちろんありますが、大人もまた「かつての中学生」、つまり当事者であるというところを突いているのです。それゆえ、各章の最後には、その章のまとめのさらにその後に、「大人のための振り返り」とするコーナーが設けられていて、否応なくリフレクションを促します。その意図と、クリスさんはこう語ります(プロローグより)。
発達に関する知識に加え、私たちはもうひとつ、この時期を乗り越えるための特別な案内役を必要とします。それは、思春期の頃の自分自身に他なりません。結局のところ、あの頃の自分はまだ私たちの中に存在します。人は、古いバージョンの自分を上書きして進化するのではありません。樹木のように、年輪を加えるように進化します。そのため、中学生の頃の私たちは、今も存在しています。しかも、大人になってから培ってきたものよりも、より自分自身の本心の近いところにいるのです。もしあなたが、あの頃の困難やモヤモヤした気持ちは忘れ去りたいという思いのほうが強く、中学生の頃の自身を頻繁に振り返っていないならば、今こそ、彼らに会いに行くときです。あの頃の自分を自らの内なる場所から連れ出し、信頼できるアドバイザーとして味方につけられるかどうか。これこそが、我が子や生徒と歩んでいく旅路を行くうえで、私たちに問われていることなのです。
中学生の子どものことを学びながら、彼ら彼女らと向き合う大人自身の成長をも問うてくる。そんな、唯一無二の教育書です。
目次
プロローグ──「中学時代」には親子双方の可能性を引き出す「魔法」がある
Part1
思春期の子どもが向き合う「3つの流れ」
1 わたしは誰?──問い①アイデンティティ
2 どう周りとつながればいいの?──問い②つながり
3 私が貢献できることは?──問い③貢献
4 思春期に始まる3つの発達段階──帰属意識、達成感、本当の自己
5 帰属意識──思春期の発達段階①
6 達成感──思春期の発達段階②
7 本当の自己──思春期の発達段階③
Part2
中学生が求める「親」になるには
8 「伴走者」としての心得
9 身体からのサイン──睡眠、食事、運動
10 気持ちや感情の動きに向き合う──社会性と情動の学習(SEL)
11 友達関係の構築を支援するには
12 よい中学校の条件とは
13 5つのチャンスと5つの希望
14 学校を超えて
Part3
学校や教師はどう変わるべきか
15 「ガイド」のような教師になる
16 「アドバイザリー」の力を活かす
17 学びを「冒険」に変える──プロジェクト型学習
18 「時間との付き合い方」を再考する
Part4
川から海へ
19 今こそ、期待値を塗り替えるとき
20 中学生という旅路の、その先に
謝辞
付録1 発達をめぐる研究を学ぶなら
付録2 中学生に見習いの機会を与えるには
付録3 教師向けのアドバイザリー研修
訳者あとがき
注記
著者
[著者]
クリス・バーム(Chris Balme)
教育者、作家、学校創設者。若者が自己のポテンシャルに気づけるようサポートする活動に情熱を捧げる。発達科学に基づくカリキュラム、SELの積極的な活用、プロジェクトベースの実践型教育などで注目を集めるミレニアムスクール(Millennium School、アメリカ・カルフォルニア州サンフランシスコ)創設者。白馬インターナショナルスクール創設者校長。2009年よりアショカフェロー。
[訳者]
塩野明子(しおの・あきこ)
慶應義塾大学法学部卒、米ワシントン大学修士。新卒で東芝入社、現在はイギリスのベンチャーキャピタルに従事。これまでに日本、米国、中国、フィンランド、イギリスで生活し、それぞれの地で教育を受け、また親としても現地の学校と関わる。
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