
食べすぎる世界――なぜ私たちは不健康と環境破壊のサイクルから抜け出せないのか
ヘンリー・ディンブルビー(著), ジェミマ・ルイス(著), 永瀬聡子(訳), 井出留美(序文)
定価 | 2640円(税込) |
頁数 | 384頁 |
判型・製本 | 四六判 並製 |
発売日 | 2025/10/10 |
ISBN | 9784862763433 |
発行 | 英治出版 |
内容紹介
あなたが“選んだ”その一口が、
私たちの未来を喰い尽くす
食品ロス、超加工食品、肉食、農業と気候変動、格差……
食をめぐる意外な事実の数々と、私たちが今できること。
・食料安全保障=食料自給率ではない
・甘いお菓子と母乳は、脂質:糖質比率が同じだから、やめられない
・所得水準が低いほど、健康的な食事を「選択」するのは困難
・肉を食べたいから、動物の痛みを控えめに考える
・地球に良いものが、体に良いとは限らない
・農作物を栽培しない農家を助成する効果
イギリスで話題になった「国家食料戦略」の立役者が、
複雑で巨大な食の舞台裏に切り込む!
「あなたが選んで買って食べるものはどれも、この巨大な機構にそれとなく促された結果であり、私たち一人ひとりもまた、知らないうちにその歯車の1つとなっているのだ」
(「はじめに」より)
「この本を読むと、小さな行動の積み重ねが社会を変える力になることにも、気づかされる」
―井出留美『食料危機』『私たちは何を捨てているのか』
目次
日本語版序文(井出留美)
はじめに
「システムに捕らわれる」とはどういうことか(概説)
第1部 私たちの体
1 奇跡と災厄―食糧危機の解決がなぜ現在の危機をもたらしたのか
2 ゆでガエル―私たちはなぜこんなに太ってしまったのか
3 走っても過食はなかったことにならない―運動で健康になれるが減量にはつながらない
4 食欲―私たちの昔ながらの体は現代の環境にうまく対応できない
5 卵サンドイッチを解剖する―超加工食品と腸内マイクロバイオーム
6 食の不平等―貧しいと健康的な食事に手がとどきにくい
7 何を食べるかまで手取り足取り? ―国家介入の是非
8 システムをハックする―ジャンクフード・サイクルを断ち切るための法整備
9 体をハックする―もし政治家が行動しなければ、製薬会社は……
第2部 私たちの大地
10 人間は世界をどのように食べてきたのか―環境破壊の最大の原因は食料システム
11 自然の不可視性―私たちの食べ物の本当の値段
12 食が地球を暖める―食料生産は、気候変動にさまざまな形で影響している
13 肉食は今がピークか?―畜産農業を減らしてもいい理由
14 心ある食べ物―集約的飼育の悲惨
15 土地利用を最適化する―私たち自身のために、自然の空間はもっと必要
16 だれも蝶は食べられない―自然保護が食料安全保障を損なうとは限らない
17 全てがうまくいくだろうか?―無駄を排除することさえできれば
第3部 私たちの未来
18 希望のフライドチキン―代替たんぱく質は私たちを救えるか?
19 大地の守り手―政府は農家の役割と処遇を見直さなければならない
20 愛の力―すぐれた食文化は私たちが作り出すもの
21 ユートピアかディストピアか?―私たちは来るべき世界に備えなければならない
付録―食料システムの変革に向けて
著者
[著者]
ヘンリー・ディンブルビー Henry Dimbleby
健康志向のファーストフードチェーン「LEON」の共同創業者で、ロンドンの主なストリートフードマーケットの運営などを行うサステイナブル・レストラン協会の共同設立者。環境・食料・農村地域省と協力して取りまとめた政策提言「国家食料戦略」は、ヨタム・オットレンギやパーサ・ダスグプタ卿など、幅広い業界関係者や有識者から高い評価を得ている。2013年に共同執筆した『スクールフードプラン』では、学校における子供たちの食事と、食に関する教育の改革に向けた対策を提案した。
ジェミマ・ルイス Jemima Lewis
『テレグラフ』紙で週刊コラムを執筆している。『ザ・ウィーク』誌の元編集者。
[翻訳]
永瀬聡子 Satoko Nagase
英語翻訳者。東京大学文学部心理学科卒業。行政機関勤務等を経て翻訳者になる。訳書に『食の哲学―「食べること」に潜む深い意味』(バジリコ)がある。
[日本語版序文]
井出留美 Rumi Ide
ジャーナリスト。株式会社office3.11代表取締役。ライオン、JICA海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。震災で食料廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠したoffice 3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力。著書に『私たちは何を捨てているのか』(筑摩書房)『捨てないパン屋の挑戦』(あかね書房、第68回青少年読書感想文全国コンクール課題図書)他多数。第二回食生活ジャーナリスト大賞/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/令和二年度食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。
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