ハーフ・ザ・スカイ――彼女たちが世界の希望に変わるまで
ニコラス・D・クリストフ(著), シェリル・ウーダン(著), 北村陽子(訳), 藤原志帆子(解説)
価格 | 2,090円(税込) |
頁数 | 392頁 |
判型・製本 | 四六判 並製 |
発売日 | 2010/10/12 |
ISBN | 9784862760869 | 発行 | 英治出版 |
内容紹介
1億人の女性が消えた。
売られる少女、焼かれる妻、見捨てられる母・・・私たちの時代にはびこる驚愕の「不正義」の真実と、あきらめない人々の強さと美しさ、そして希望を描いた全米ベストセラー。
今日も、同じ空の下のどこかで、女性であるがゆえに奪われている命がある。人身売買、名誉殺人、医療不足による妊産婦の死亡など、その実態は想像を絶する。衝撃を受けたニューヨークタイムズ記者の二人(著者)は、各国を取材する傍ら、自ら少女たちの救出に乗り出す。そこで目にしたものとは――。「現代における最大の不正義」の現実と、決してあきらめない人々の強さと美しさ、そして大きな希望を描いた本書は、米国での発売以来ベストセラーとなり、圧倒的な賛辞と共感、そして変革への行動を巻き起こしている。ピュリッツァー賞受賞の著者が、失われた命への慟哭と人類への祈りを込めて記した渾身の力作。
「もう傍観してはいられない。この本は、私たちが最も必要としていることをしてくれた」――ジョージ・クルーニー(俳優、映画監督)
「決してあきらめない女性たちの力。読者一人ひとりにインスピレーションを与え、世界中で正義を求めて闘う人たちのモデルになる」――アンジェリーナ・ジョリー(女優、UNHCR親善大使)
「日本は、しばしば海外から連れて来られる女性の人身売買の最終目的地となる。…(中略)…著者ニコラスとシェリルは、女性や少女の人権を守り、エンパワーすることによって、社会全体が、ひいては世界が大きく改善するということを反論の余地もないほど証明してくれる。これは決して私たち日本人一人ひとりにとって無縁の話ではない」――藤原志帆子(ポラリスプロジェクト、「解説」より)
目次
第1章 二一世紀の奴隷解放
・遠い場所から、同じ空の下で
第2章 禁止と売春
・むずかしいのは少女を救い出すことではない
第3章 声を上げること
・新世代の奴隷廃止運動家
第4章 暴行による支配
・ムフタールの学校
第5章 「名誉」という恥
・海外留学――コンゴへ
第6章 一分間に一人
・患者だけでなく国を治す医師
第7章 母親の命を救うには
・エドナの病院
第8章 家族計画と「神の深淵」
・ジェーンと三四〇〇万人の友
第9章 イスラムは女性蔑視か
・アフガニスタンの反骨の人
第10章 教育に投資する
・アンとアンジェリーヌ
第11章 マイクロクレジット
・二ドルからの起業物語
第12章 平等の枢軸
・草の根の人々をつなぐ
第13章 草の根と木の梢
・少女が少女のために
第14章 一人ひとりにできること
・今から一〇分でできる四つのステップ
・支援団体の紹介
・解説――『ハーフ・ザ・スカイ』と日本に生きる私たち(藤原志帆子)
・原注
著者
ニコラス・D・クリストフ、シェリル・ウーダン
ともに『ニューヨーク・タイムズ』海外特派員として活躍し、中国・天安門事件の報道によりカップルで初めてピュリッツァー賞を受賞。ウーダンは同紙の東京、北京駐在海外特派員、テレビニュースキャスターを務めたのち、現在はビジネスに従事。クリストフは同紙香港、北京、東京支局にて支店長、副編集長を歴任し、現在は論説執筆者。スーダンのダルフール地方におけるジェノサイドに関する記事で二度目のピュリッツァー賞を受賞。三人の子とともにニューヨーク市近郊に在住。
[訳者]
北村 陽子(きたむら・ようこ)
東京都生まれ。上智大学外国語学部フランス語学科卒。訳書に、キャロル・オフ『チョコレートの真実』、カーン・ロス『独立外交官』、シンシア・スミス『世界を変えるデザイン』、ジャクリーン・ノヴォグラッツ『ブルー・セーター』(以上、英治出版)などがある。
[解説]
藤原志帆子(ふじわら・しほこ)
ポラリスプロジェクト日本事務所コーディネーター。1981年、北海道生まれ。米国ウィスコンシン大学マディソン校卒業。米国NPOポラリスプロジェクト(ワシントンDC)での勤務を経て、2004年に同団体日本事務所「ポラリスジャパン」を設立。人身取引をなくすために、多言語の相談電話による被害の発見と救済事業を開始した。人身取引被害を受ける子どもや女性への現場での支援の傍ら、児童施設や入国管理局での研修講師としても活動している。08年母校ウィスコンシン大学マディソン校より名誉卒業生賞受賞。