自己を革新するためには、中年の歳になるまで、意識と感情のはたらきを麻痺させてしまわなければよい。若々しさによる柔軟性と、学習し成長する能力を、早いうちから手放してしまってはいけない。年齢を問わず、自己を革新することは可能なのだ。
―― はじめに P30

[訳者解説]

ガードナーは、生涯を通じて自己を革新しつづけました。心理学者、財団の理事長、政治家、市民団体のリーダー、大学教授。肩書きを何度も変え、新しい環境でチャレンジしながら、「教育を通じて人々に影響を与え、社会をより良い方向へ導く」という信念を貫きました。

自己革新しつづけることについて、彼は次のように述べています。

自分自身の可能性をすべて開拓するには、人生のめぐり合わせに任せておけば安心というわけにはいかない。それは、人生の終盤に向かって、システマチックに、または少なくとも貪欲に追求されるべきものである。私たちの可能性と、人生の要求の間に交わされる、終わりのない予測不能な会話に期待すべきである。
――第2章 P50

この言葉から思い起こされるのは、偉大な業績を残した人々がみな、確かに自己革新しつづけていたということです。

たとえば、ピーター・ドラッカーは生涯を通して著述とコンサルティングに従事しましたが、晩年は非営利団体に注力するなど、常に新しいテーマを追い求め、学ぶことをやめませんでした。

また『コア・コンピタンス経営』『ネクスト・マーケット』などの著作で知られるC. K. プラハラードも、数年置きに研究テーマを大胆に転換し、次々と新しい経営戦略のコンセプトを打ち出しました。彼は「心地よい領域(コンフォート・ゾーン)に留まってはいけない。一刻も早く立ち去るべきだ」という言葉を残しています。

最後に、ガードナーの次の言葉を思い出しておきましょう。

幼い子どもは、新しい体験に開放的であることのお手本である。感受性が強く、好奇心があり、熱心で、恐れを知らず、何でも試してみようとする。
――第1章 P37

自己革新しつづけることは、なにも難しいことではありません。

「子どものような無邪気な心で人生を楽しみなさい」ということではないでしょうか。

本稿で「成長しつづけるための言葉」の連載を終わります。ご愛読ありがとうございました。

自己革新[新訳]
――成長しつづけるための考え方

Self-Renewal: The Individual and the Innovative Society

20世紀アメリカを代表する知識人として知られる
ジョン・ガードナーの代表作。

【著者】ジョン・W・ガードナー
【訳者】矢野陽一朗
【価格】1,500円+税




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