某食品メーカーのアンテナショップで、Orange-fleshed Sweetpotatoのビスケットを売っていると聞いて、行ってみたら「これだよ」と言って出してくれました。
原材料は、Canna Edulis 粉、卵、砂糖、牛乳、バター、重曹。Canna Edulisって何だろう?アパートに帰ってネットで調べてみたら「食用カンナ」でした。そんな作物があるのか…知らなかった。
オレンジ色のパッケージなので、お店の人はこれだと思ったのでしょう。まあ、それはいいとして、この全然ビスケットっぽくない形とか、「スペシャル・ビスケット」という適当っぽい商品名とか、突っ込みどころ満載。
そもそも「食用カンナ」という希少な材料を使っておきながら、その説明はどこにも書いてないって、一体どうなっているんだ?小売価格は200gで500Rwf(約67円)、味は…ご想像にお任せします。
ビタミンAはアフリカで最も欠乏しやすい微量栄養素の1つ。ビタミンAが欠乏すると夜盲症を招き、さらに眼球乾燥症から角膜軟化症へと進行し、最悪の場合は失明します。
特に発症リスクが高いのは、乳幼児と妊婦。特に、新生児の肝臓にはビタミンAの貯蔵が少なく、母乳による補充が必要ですが、途上国では母乳中ビタミンAが少なく、完全母乳でも欠乏症が起こるそうです。
そのビタミンAを、とんでもなく豊富に含むサツマイモの品種がある…と日本で『サツマイモ事典』で読んで知り、それは一体どこで手に入るのか執念深く探しておりました。
そして、とうとう本日、ルワンダでその栽培普及をしているRAB(Rwanda Agriculture Boad)のスイートポテト・プロジェクトのリーダーに面談!! 生イモで125g食べれば1日に必要なβ-カロテン(ビタミンAの前駆体)が補える、その品種名はOrange-fleshed Sweetpotato でした。
挨拶もそこそこ、干し芋のサンプルを取り出して食べてもらい、熱弁!! 最初はやや引き気味だったプロジェクト・リーダーも、イモ話が進むにつれて加熱して、帰り際には「よし、記念写真を撮ろう!!」ということに。
仕事で会った人に「記念写真を撮ろう!!」と言われたのは、さすがに私も初めて。育種家の彼は、ずっとOrange-fleshed Sweetpotatoの商品化を進めてきたのですが、イモ粉が小麦粉の代替にパンに使われるくらいで、どうも今1つヒット商品がなく、忸怩たる思いだったらしい。
茨城県産の干し芋を見て、「知らなかった、こんな食べ物があるのか…これならサツマイモ100%で作れる。正直、小麦粉の代替品ではなく、サツマイモの新しい商品を作りたかったんだよね!」と感激してました。
そして、これがそのOrange-fleshed Sweetpotatoのサンプルです。このように生イモ状態でも淡いオレンジ色ですが、蒸し煮すると…それこそ目の覚めるようなオレンジ色になりました!!
でもって、これが干し芋として乾燥させる直前。ヤバイぞ、これは! もしかしたら、干し芋が全世界に一点突破・全面展開する大ヒット商品になるぞ!!…と、営業部長もテンション高いのでした。
「OSSで堆肥を作りたい。組合で買うから来てくれ」という電話を受けて、新人営業マンが「今ならキャンペーン価格の1リットル300Rwf(40円)で買えます」と言ったので、こんなに人が集まっています。
それはトイレ用OSSのためのキャンペーン価格だから、農業分野のお客様に提示してはいけない、ということを話したうえで、適性な利益を得ることの大切さについて説明しました。
しかし、せっかく集まってくれた人々に「すいません、価格を間違えました」とも言えません。今回だけの特別価格です、と言って売るか…まあ、ともかく成り行きに任せるか。
このジャガイモの農業組合は、昨年からOSSを堆肥の発酵促進剤として販売するべく、パイロット事業を実施したところです。その成果をみて、皆さん関心を持ってくれたらしい。
農業資材の営業コンサルタントの先輩から教わった、シンプルな秘訣。「幹線道路沿いの、一番目立つところに、その資材のデモンストレーション圃場を作れ。結果が出たのを確認してから、看板を立てろ」。
そして、その通りのことをしてみたわけです、結果はご覧の通り。上の写真右が無施肥区、写真左がOSSで作った堆肥の施肥区。更に、その左には化学肥料(NPKと呼ばれている)だけの施肥区もあります。
地上部だけでなく、イモを掘って見ようと提案したら、こういうことに。こんなにわかりやすい効果が出ると、私はかえって不安になってしまう。どんな畑でもこうなるわけではないし…
掘り取られたジャガイモを見て、ああだこうだと熱く議論する人々。格好のプロモーションになってます。しかし、普段は1リットル1,200Rwf(160円)だと伝えたら、みな沈黙してしまいました。
「理屈は不要。とにかく農家に使わせて、いいと思えば買う」と、日本の農業資材屋なら言うでしょう。前職で私は農業資材屋が開く、“勉強会”にいろいろ参加しましたが、まあ確かにそんな感じです。
よくあるパターンは、まず土壌学の先生による講義、何を聞いても思考停止させる回答しか返ってこない質疑応答、営業部長による自社資材の説明、そしてちょっと豪華なお食事の懇親会…という流れ。
そしてお決まりの「○○資材施肥区」「無施肥区」という写真の載ったパンフレット。「数字がわかる農家さんなら、わかってくれます」というような、自尊心をくすぐるセールストーク。
要するに農業資材というのは、農家のある種の「知識不足」につけこんで、生産資材としての価値以外のところで販売することが、ままある業界ではないかと思います。
そんな商売はしたくない、と思います。しかし、現実には農家から「化学肥料が1kgで340Rwf、そしてOSSが1200Rwfということは、つまり4倍の効果があるのか?」というような質問が延々と続きます。
農業資材は難しい…
シロタとは、干し芋の白色不透明の硬い部分です。日本では高温乾燥年に出やすく、原料イモの水分含量が低いことから、澱粉の糖化が進まないために発生するそうです。
日本ではシロタは商品価値を落とす不良品であり、出荷選別時に取り除かれるので、お店で売っている干し芋にシロタはありません。しかし、ルワンダで私が作った干し芋は、初めのうちシロタだらけでした。
いろいろ条件を変えて作っているうちに、シロタの出にくい品種がわかりました。本日は、その品種を使っている場合でも、イモのサイズや蒸し煮する時間と、シロタの発生に関連があることがわかりました。
あっという間に、アパートの寝室とリビングは干し芋のサンプルだらけ。そのうち大家さんに苦情を言われるのではないか。しかし、こういう研究を始めると、飯を食うのも面倒になって没頭してしまう。
朝、アパートの庭でカマキリを見つけました。寸詰まりで、前翅に白い斑点があるところは、ハラビロカマキリに似ているけど、ルワンダにいる訳ないし…なんだろうか。

私は虫好きなので、夢中になって写真を撮っていると、大家さんが「何しているの?」と訝しげに聞いてきました。これがいかに珍しい昆虫か説明すると、「でも、私の観葉植物を食べるから、困るわ」と言います。
カマキリは肉食で、むしろ葉を食害する虫を食べてくれる益虫だと説明すると、あまり興味なさそうに「ふーん、でもたまには葉っぱもたべるでしょ?」と、なおも言ってきます。
菜食主義のライオンなどは存在しないように、カマキリは常に他の虫しか食べない、と説明すると納得して(というか、どうでもよくなって)去っていきました。
東アフリカは、面白いカマキリの宝庫です。去年タンザニアで、ホテルの廊下でコイツを見つけました。アフリカメダマカマキリです。自然は、どうしてこんなにも不思議な造形の生物を進化させたのだろう。
キガリ市の総人口は、2010年現在で約180万人。そのなかでも低所得者居住地、いわゆる「スラム」にすむ人口が約126万人と言われています。
このような居住地で、下水道や浄化槽が整備されていないトイレを使っている世帯が21.6万世帯あります。業界用語ではこのようなトイレを竪穴式トイレ(pit latrine)と呼びます。
竪穴式トイレというのは、地面に2~10立方メートル程度の竪穴、つまり便槽を掘った後に、その上部をセメント(もしくは土)の床で覆い、中央に穴をあけた構造のトイレです。
このような竪穴式トイレは、なかに汚物が溜まってくるにしたがって、不衛生になりがちです。ハエ・蛆・ゴキブリ・蚊などが集まってくる。そして、屎尿が分解してアンモニア臭が発生する。
そして人は誰でも、他人に見られずに捨てたいものがあります。生理用品・コンドーム・おむつ・家庭ゴミなど、もろもろ竪穴式トイレに捨てられます。その結果、実際のトイレはもっと複雑な悪臭になっています。
この状況に対して、いろいろなものをエサにして増殖できる微生物を竪穴式トイレに放り込み、悪臭源を分解させて、ひとまず臭いの問題を解決するのが、当社の微生物資材OSSです。

竪穴式トイレにOSSを使ってもらい、蓋をして、キレイに管理する習慣がつくと、かなり快適な空間になります。でも、その快適さにも、期限があります。トイレを汲み取りするサービスが、極めて少ないからです。
さて、ここで問題です。もし、あなたの家庭でトイレが一杯になってしまったら、どうしますか?もう、すぐそこまで汚物が溜まっている。新しく掘るには、時間も金も場所も必要だけど、あなたには全部ない。
現実的な対策として、汚れていいバケツを用意して、とりあえす汚物を汲みあげる。…そして、それをどうすればいいでしょうか?下水処理施設まで汚物のはいったバケツを持って、何kmも歩けますか?
良心的な捨て場所として、近隣の家のトイレが考えられます。でも、「すいませーん、ちょっとウチの汚物を捨てさせてください」とは言いにくい。結局、夜中にこっそり、その辺の側溝や路地に捨てるでしょう。
そこに雨が降れば、あっという間に周囲の水が汚染されて、感染症や下痢などの病気が発生します。OSSは、いくらか汚物の分解を促進しますが、やはり物理的に汲み取るには及びません。
バキュームカーは、台数はまったく足りないですが、浄化槽の汲み取り会社などにあるようです。しかしながら、スラムの細い道には、とても入っていけません。
人が1人通るのがやっとの狭い路地を、今日も当社のスタッフが、テストユーザーのトイレをまわっています。メジャーを片手に、OSSでどのくらい便槽の汚物を分解促進できているのか計っています。
この状況に、どのような解決方法があるのか。スラム専用に開発された、手動ポンプによる汲み取りビジネスなどもあるようです。しかし、私もまだ勉強不足です。誰か、情報やアイディアがあれば教えてください。
雨模様の空なので、干し芋の試作を中断。アルノ君の家でゴロゴロしていたら、近所の子供が遊びに来たので、茨城県産の干し芋サンプルを渡してみました。

干し芋を見たことはないはずですが、素直に袋を開けて食べていました。「美味しい?」と聞いたら、「美味しい」と言っていました。
ひとまずルワンダの子供には、普通に食べてもらえるようです。嬉しい一瞬でした。
昨日の試作①で、干し芋の加工適性がありそうだった品種を、大量に買ってみました。調理器具は、ルワンダの一般家庭にあるものに変更して、炭の七輪になりました。
日本から持参した干しかごは、お洒落で機能的なスグレモノです。でも、どんどん実験したいので、これも現地調達できるものに変更して、市場で売っている箕に変更しました。
助手のアルノ君は、今日も変更されずに駆り出されています。休日出勤なので、Tシャツの柄がカジュアルで可愛くなっています。芋は、いろいろ加熱時間を変えてみて、試験区ごとに箕に並べていきます。
しかし、同じ品種でこんなに品質がばらつくことって、ありえるのだろうか…。これらはずべてShingicjumuという名前で市場で買ってきた「1つの品種」です。アルノ君によれば、「栽培された土の違い」とのこと。
ま、いっか。ともかく乾燥させましょう。本日もキガリの気温は30℃、湿度54%、快晴なり。この後で、肉色がきれいな淡黄色で、シロタ(白色不透明の硬い部分)が少ないサンプルを持って、再び市場に行きました。
サツマイモに詳しい芋売りの女性にそれを見せて、「これと同じ芋をくれ」といったら、ちゃんと選んでくれました。明日、また試作してみます。
さて、ルワンダで干し芋が作れるかどうか、やってみるべし。まずキガリ市内の青果市場で売っているサツマイモの品種を、片っ端から買ってみました。
こういう時に助手として駆り出されるのは、例によって運転手のアルノ君です。まずは、私のアパートの台所を作業場にして試作開始。キッチン付きのアパートでよかった!
基本的には、どんな品種でも干し芋は作れます。でも、加工適性というのがあって、焼き芋にして美味い品種と、干し芋にして美味い品種では違います。茨城県の干し芋は、タマユタカが多いそうです。
中略、茹でて、皮を剥いて、切って、干しました。日本から持参した干しかごに並べます。1~2段目の品種は、粉質のようでした。蒸したり焼いたりして食べる際は、ルワンダでも粉質が好まれるようです。
今日試作した6品種のなかでは、これが1番粘質で、干し芋にする加工適性がありそうでした。ルワンダの言葉でShingicjumu、「槍」という名前の品種だそうです。
本日のキガリの気温は30℃、湿度54%、快晴。茨城県の場合、冬場の平均気温は日中12~18℃、夜間-5~5℃くらいで、これに乾燥した風が加わると、約7日間で干しあがります。
ルワンダと茨城県では、だいぶ気候条件が違います。まあ、食べる人も違いますから、茨城と同じものが好まれるとも限りませんが。どんなものができるのか、楽しみです。
オーガニック・ソリューションズのケニア本社です。ナイロビ郊外の住宅街にあります。日本的な感覚では、ちょっと会社の社屋には見えないかもしれませんね。
このオフィスには、最近移転してきました。まだペンキも塗ってない、工事中の建物です。社長いわく、事業というのはこういう状態から、目立たないように始めるくらいがいいのだそうです。
最初はペンキも塗っていない建物から事業を始める。少しずつ設備を揃えていく。そうやって現地スタッフに会社の成長を実感・共有してもらい、帰属意識が育っていくのだとか。
プロフィール
長谷川 竜生
はせがわ・たつお株式会社オーガニック・ソリューションズ・ジャパン営業部長。青年海外協力隊、大学院でのアフリカ農業研究をへて、ワタミフードサービス株式会社に就職。居酒屋の店員として働きながら「理念と営利を両立させた経営」を学ぶ。その後、月刊『農業経営者』編集部に転職して、優れた経営を実践する約800人の農家・農業法人を取材する。現在はルワンダで微生物資材を製造・販売するOrganic Solutions Rwanda Ltd.に出向して、発展途上国の「貧困層(BOP=Base of the Pyramid)」をターゲットとしたBOPビジネスに奮闘している。
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