マカダミアナッツを植えた島が見えてきました。
急な斜面を登ります。足元は風化した石灰岩がゴロゴロした薄い土壌。耕地に適した土地ではありません。少ない土壌をかき集めてテラスを作り、そこにマカダミアナッツが植えてありました。
交通に不便な島で、土壌は薄く、急な斜面…実際、植栽5年目にしては、樹の成長は遅いようでした。事業の採算をとるのが難しいこの土地で、なぜ、ここまで苦労してマカダミアナッツを植えるのでしょうか。
「他に利用価値のない島に、一面にマカダミアナッツを植えて、地域の産業にしたい」と、農場の経営者が想いを語ってくれました「こっちには素敵な景観のリゾートホテルを建設して、疲れた人々を癒す」。
彼の創りたいモノ、実現したいコトには、すごく共感できる。でも、なぜ、そこまで苦労してやろうとするのか、それが良くわからない。そんな事業をしている人、どこかにいたな…と思ったら、私自身のことでした。
何も日本人が、アフリカで苦労して商売しなくても、他の国ですればいいのに…と、そんな視線を感じることが、よくあります。事業の採算性だけ考えたら、本当に、その通りだと思います。
でも、いろいろ考えたら、生涯を賭けてでもやるべきだと、この農場の経営者は思ったのでしょう。採算性を越えたところにある、考え方への基本的な共感は、一緒に事業をするうえで大切だと思います。
それは、社内のスタッフに対しても一緒だと思います。ある日、サイトからの帰り道、夕日がとても美しかったことがあります。普段は仕事の話ばかりですが、その時は夕日が美しいことを大いに語りました。
言葉も価値観も違うスタッフ達に、今、目の前にある夕日の美しさを語る。そういったことの積み重ねが、「あ、この人も自分と同じ感性があるんだな」という共感を培うのではないか、と思うのです。
ルワンダに戻りました。西部県カロンギ郡にマカダミアナッツの買付けに来ています。
ここにはキブ湖という、とても美しい湖があります。今日は、そこに浮かぶ島を買って、島一面にマカダミアナッツを植栽している人の農場を訪問します。
島に渡るための船を準備しています…というので、しばらく湖岸に待機。まさか、この船じゃないよね? なんかの罰ゲームとしか思えないような椅子の配置、この船だけは勘弁してほしい。
…と思っていたら、かなり普通っぽい船が来たので、ひと安心。ちなみに船外機はヤマハ製でした。なんとなく北島三郎風の、粋で寡黙な船頭さんが操縦してくれます。
こういうシチュエーションでテンションが上がってしまうのは、アフリカ人でも日本人でも一緒らしい。湖上の気持ちのいい風に吹かれて、いざマカダミアナッツの植わっている島へ。
ダルエスサラームのスーパーマーケット、スナック菓子の棚。左側が国産品、右側のカラフルなのが輸入品です。
こんなに置いて売れるのだろうか? と老婆心ながら心配になります。まあ、売れるから置いているのでしょう。国産スナック菓子は、ほとんど油で揚げたチップス系でした。
パッと見て、直感的に「あ、美味しそう!!」と思ったナンバーワンは…このバナナ・チップス(塩味)でした。棚の場所も、ちょうど目線の高さで、特等席に置いてあったと思います。
そして、ナンバーツーがキャッサバ・チップス(塩味)です。ポテト・チップスから、イモの香りをなくして、繊維っぽくして、ねっとり感を30%増量したような食感です。
ポテト・チップスは個人的に思い入れが深いだけに、どうしても美味しそうに見えません。せめて、油が酸化しないように、不透明の袋に入れてほしい…って、まあ余計なお世話ですが。
その反対側がナッツの棚、タンザニア製の商品がほとんどでした。カシューナッツとピーナッツで95%くらいを占めていたと思います。こんなに棚を占めて、いいのだろうか?

自社ブランドのカシューナッツも、数種類ありました。ともかく、タンザニアのスーパーマーケットの多くには、スナック菓子とナッツの棚がある…という事実を確認できたのが、本日の収穫です。
「竪穴式トイレ(pit latrine)が一杯になったら、どうするか? 」という話題で、タンザニア人の友人達といろいろ話をしました。
建設会社を経営している友人が、「竪穴式トイレではないけど、企業の浄化槽を空にして、清掃する案件の施工写真があるよ」と、携帯の画像を見せてくれました。

服を脱いで浄化槽のなかに飛び込み、なかの汚物をバケツで掻き出す作業をする職人が、作業を終わった状態です。周囲に堆積した黒いものが汚物です。
この職人は、この作業をいくらで請け負っているのか、と聞いてみたら「場所と浄化槽のサイズによるけど、この場合は30,000Tsh(約1,500円)だった」とのこと。
ダルエスサラームには、このような職人がたくさんいて、今日も竪穴式トイレや浄化槽を空にして、掃除をする仕事を請け負っているそうです。「トイレは皆、不便しているからね。仕事はいくらでもあるみたいだよ」
ルワンダのトイレも同じ問題を抱えていますが、ここまでアッケラカンと掻き出して作業しているのは見たことがありません。もし、これが人々の居住地だったら、衛生的に問題あるよなあ…と溜め息のでる話でした。
新規事業の準備のため、タンザニアに出張です。
ダルエスサラームに仕事で来ていたタンザニア人の友人が、空港まで迎えに来てくれました。ホテルにチェックインしたら、もう夕方。「じゃあ、メシ食いに行くか!」となりました。
ルワンダにはないけど、タンザニアにはどこでもあるもの。それは、脳ミソが沸騰しそうな大音響のアフリカン・ポップと、それに負けないジェネレータの騒音、それらが混然として充満しているバー。
席にも座らず、「まず、肉だろ?」と肉焼き台に直行。そこで…コレに出会ってしまいました! 正直言うと最初は一瞬、何だか思い出せませんでした。「おい、コレ何だっけ?」「え? 忘れたの? 尻尾だよ尻尾!!」
つまり、牛テールスープ。そんな上品な名前は、いかにも不適切ですが…。牛の尻尾の、付け根から先っぽまでを、まるごと煮込んでブツ切りにしてあります。コラーゲンたっぷり。明日はお肌ツヤツヤかな?
収穫されたマカダミアナッツ。最初は、緑色の外皮(ハスク)がついています。
このハスクをつけて放置すると、ナッツの品質が低下します。理想的には、収穫後48時間以内に取ってもらいたい。ナッツの品質を高めるには、こういうことを1軒1軒の農家さんに実践してもらう必要があります。
この農家さんでは、収穫したナッツを、直射日光で乾燥していました。「マカダミアナッツはメイズと違ってさ、天日干しにすると良くないんだよね」とケニア・ナッツ社のバイヤーさんが、穏やかにお願いします。
「でも、こうすっと、ほら、ハスクが剥きやすくなるんだけど…ダメかいね?」と農家さん。「うーん、そりゃお父さんの仕事は楽になると思うけど、ナッツには良くないんだなー」と、いうような会話が続きます。
こうやって乾燥用の小屋と棚があれば、ナッツの乾燥には理想的です。バイヤーさんは、すべての農家で殻(シェル)を割って、中のナッツの品質を確かめ、どのくらい集荷できるか推定kgと共にメモします。
アフリカで小規模・零細農家から集荷するためには、こういう地道な巡回をコツコツ続ける必要があります。当然ながら、オーストラリアやハワイの大農場には必要ないコストがかかります。
そしてまた、集荷したナッツにはいろいろな品種が混在しているので、さらに2次加工でも余計に手間が必要です。シェルの大きさ・厚さ・硬さ、そしてナッツの水分や油分なども不揃いだからです。
こういった難しさを、フィールド・オフィサーを教育したり、工場のナッツ加工機械を工夫したり、人々の働く意欲を高める制度を作ったりして克服してきたのが、ケニア・ナッツ社のすごいところなのでしょうね。
隣国のケニア・ナッツ社からマカダミアナッツ歴21年のベテランを呼んで、ルワンダのマカダミアナッツの買付をするための調査をしています。

ルワンダには2006?08年に、当時の農業政策の一環で植えられたマカダミアナッツが数万本あります。植えてから5年目の木々は、そろそろ実をつけ始めています。
昨年までは、せっかくのナッツを買取りする業者がなく、農家も困っていました。当社はケニア・ナッツ社と提携して、ナッツの集荷体制を構築しながら、栽培技術やポストハーベストの支援をしていく予定です。
たわわに実ったナッツ。ケニア・ナッツ社のバイヤーさんは「素晴らしい!」と言って、目尻が垂れていました。これは育苗場で穂木をとる木なので、こんなに結実させてはいけないのだけど…まあ、いっか。
育苗場はナッツ産業にとってバリューチェーンの起点、とても重要です。しかし、接ぎ木の技術が甘いのか、何回も接ぎなおしていたり、台木に台木品種の穂木を接いでいたり…だいぶ改善の余地がありそう。
もっとも、最初からベストの状態だったら、とっくに他のバイヤーさん達が来ていたでしょう。数年間はとにかく買い支えて、農家との信頼関係を築きながら、少しずつ改善していくことになると思います。
プロフィール
長谷川 竜生
はせがわ・たつお株式会社オーガニック・ソリューションズ・ジャパン営業部長。青年海外協力隊、大学院でのアフリカ農業研究をへて、ワタミフードサービス株式会社に就職。居酒屋の店員として働きながら「理念と営利を両立させた経営」を学ぶ。その後、月刊『農業経営者』編集部に転職して、優れた経営を実践する約800人の農家・農業法人を取材する。現在はルワンダで微生物資材を製造・販売するOrganic Solutions Rwanda Ltd.に出向して、発展途上国の「貧困層(BOP=Base of the Pyramid)」をターゲットとしたBOPビジネスに奮闘している。
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