『社員を大切にする会社』 ~「従業員第一・顧客第二」の理念で、売上・利益3倍、顧客数5倍!?~

“Employees First, Customers Second”
「従業員第一、顧客第二」

 

「お客様は神様」と言われる世の中で、堂々と「顧客第二」・・・

こんな理念を掲げて組織変革に挑んだ会社があります。

インドのHCLテクノロジーズというIT企業です。

 

こんな理念を掲げて、どうなったと思いますか?

 

 

 

4年で、離職率半減。

 

 

 

これはなんとなく想像できますよね。

「従業員第一」にしているわけですから。

 

でも、それだけじゃなかったんです。

 

 

 

売上・利益、共に3倍

顧客数、5倍

 

 

 

・・・どうしてこんなことが起こるのでしょうか?

 

 

 

顧客に実際に価値をもたらしているのは、経営陣やトップではなく、

顧客接点のある最前線の一人ひとりの従業員です。

彼らのパフォーマンスが良くなければ、当然顧客満足度も下がります。

 

ということは、逆も然り。

 

従業員の事をなによりも大切にして、彼らの力が最大限発揮される環境を整える。

そうして彼らが良いパフォーマンスを出せれば、顧客満足度は上がります。

 

つまり、

 

 

 

従業員・メンバーを第一にすることは

ゆくゆくは顧客満足度の最大化に繋がる

 

 

 

ということなんです。

「顧客第二」は、決して顧客を軽んじているわけではないのです。

 

 

 

著:ヴィニート・ナイアー、英治出版

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『社員を大切にする会社 ―― 5万人と歩んだ企業変革のストーリー』

 

今日紹介するのは、そんなHCLテクノロジーズのCEOが書いた本です。

 

「従業員第一、顧客第二」の理念に沿って、

どのような企業変革の道を歩んでいったのか・・・

その一連の物語が綴られています。

 

はっきり言えます。

 

代表任期中に出会えなかったのが悔やまれる!!

 

それほどの本です。

 

 

 

[こんな人にオススメ]

■メンバーの力を最大限引き出して集合知を生み出す方法を模索している方

■何らかの組織変革を行いたいが、どこから着手したらいいか分からない方

■トップダウン式のリーダーシップ感に疑問を抱いている方

 

 

 

以下、成果を生み出す「従業員第一、顧客第二」の企業変革の歩みを、

簡単に記していきたいと思います。

 

この記事でこの本の全部を知ってもらおうとは思っていません。

綴るのは概略だけに留めます。

CEOのヴィニート・ナイアー氏が、具体的にどんな施策を打ったのか、

そこに関しては数個の事例にしか触れませんので、

関心を持った方はどうかぜひお買い求めの上、

自分の目で読んでください!

 

 

 

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~企業変革の流れ~

1.鏡の中をのぞく

2.透明性を通して信頼を築く

3.ピラミッドを逆さまにする

4.変革の権限を、CEOから従業員へ

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1.鏡の中をのぞく

 

いつ人は変わりはじめるのだろうか?鏡を見たときである。(p.15)

 

人も企業も、「変革する」ということは、

「A地点からB地点へ移動する」ことです。

 

この時、そもそも出発点であるA地点が分かっていなければ、

B地点に辿りつく計画は立てようがありません。

 

だから、まずはスタート地点・・・「自分たちの現状」を把握する必要があります。

それが「鏡を中をのぞく」の意味です。

 

これは、多くの場合、「目を背けたい現実」に向き合うことを意味します。

 

「鏡よ鏡」とはコミュニケーション・エクササイズである。社内のあらゆる従業員と対話し、あるがままの真実について語り合うことによって、基本的に誰もが気づいていながらも、決して口に出そうとしない、重大な事実を従業員に認識させるというものだ。(p.33)

 

CEOのヴィニート・ナイアー氏は、

実際に世界中の拠点を回り、あらゆる階層の従業員と語り合います。

そしてあるがままの自社の姿に気付き、変革の必要性を認識させようとします。

 

すると、従業員の中には3つのタイプの反応があったそうです。

 

?変革者:すでに現状に不満を抱いていて、変革を待ち望んでいた人たち

?喪失者:否定的な意見に固執し、変革の可能性を信じない人たち

?傍観者:変革者と喪失者を見ているだけで、成り行きを見守るだけの人たち

 

100%の支持を得ることはできません。

ただし、変革に必要な「クリティカルマス(必要不可欠な数)」は、

全従業員の10%で十分だと考え、?変革者たちに焦点を当てていきます。

彼らを変革の列車に乗せるために、将来像(B地点)を見せます。

それが「従業員第一、顧客第二」というビジョンです。

 

 

 

2.透明性を通して信頼を築く

 

こうして変革の必要性が認識されたとしても、

経営者と従業員の間に「信頼」がなければ実行には至りません。

 

そこでヴィニート・ナイアー氏は、「組織の徹底的な透明化」に着手します。

財務情報の従業員への公開から始まり、

従業員なら誰でも自由に質問を投稿でき、

経営陣が応えるオンラインフォーラムを作ります。

これは、誰もが投稿された質問内容や回答内容が見れるオープンなサイトです。

結果、社員の愚痴や不平不満も大量に出たそうですが、

思わぬ利点もあったのです。

それは、ある社員の質問に、他の社員が答える、という社員同士の助け合いの姿でした。

 

いざ実践してみてわかったのは、社内の大半の人間が会社の問題点によく気づいていることだ。それも、時には経営幹部が気づくよりも前、少なくとも彼らがようやく問題があることを認めるようになる前からだ。事実を明らかにし、問題点を公にすると、従業員は自分たちも当事者であるという自覚を持つようになる。そして、会社が抱えている問題は経営側の問題であるばかりではなく、本当は自分たちの問題でもあることに気づきはじめる。経営幹部が重要な事実を、たとえ悪い内容であっても打ち明け、その事実について率直な対話を促すなら、経営陣が本気だと従業員も信じるだろう。すると、経営幹部が対応策や解決策について方針を決めるよりも先に、従業員レベルから何らかの積極的な行動が始まる。指示されなくとも、従業員が問題に取り組みはじめる ? そんな光景を私たちは何度も目にしてきた。(p.17)

 

こうして、透明性の確保による改革は一定の成功を及ぼしました。

 

 

 

3.ピラミッドを逆さまにする

 

このような前向きな変化がもたらされても、まだ完全ではありません。

最善の結果が生まれるのを妨げ、持続する変革の壁になっているのは、

ピラミッド型の組織構造だとつきとめます。

 

つまり、経営陣がトップにいて、真ん中にバックオフィス、

そして実際に顧客に価値をもたらしている最前線の従業員が底辺にいるという構造です。

 

価値を生み出す「バリューゾーン」にいる従業員達が底辺にいるのはなぜ?

 

ヴィニート・ナイアー氏は、この伝統的なピラミッドを思いきって逆さまにします。

つまり、バリューゾーンにいる従業員達をトップに置いて、

バックオフィスや経営陣こそが、彼らに対してアカウンタビリティ(説明責任)を負う、

という逆ピラミッド型の組織構造にしたのです。

 

行った施策のひとつの具体例として、スマート・サービス・デスク(SSD)という仕組みがあります。

 

これは、最前線のバリューゾーンにいる従業員達が何か問題を抱えた際に、

然るべきバックオフィスの人たちに回答期限付きの課題チケットを送るのです。

受け取ったバックオフィスの人たちは、期限内にそれを解消する義務を負います。

つまり、「従業員がバックオフィスの人々に様々な義務を負う」という通常のアカウンタビリティが逆転しているのです。

この取り組みはやがて、「再発防止にこそ価値がある」との気付きから、

チケットゼロを目指す運動にも繋がっていきます。

 

 

 

4.変革の権限を、CEOから従業員へ

 

ここまで変革を行ってもまだ足りないと感じるのが著者のすごいところです。

彼はこう思いました。

 

このまま成長を続けながら、この「従業員第一、顧客第二」からぶれずにいるにはどうしたらいいのだろうか?突然、ある人々が出てきて、伝統的なピラミッド組織をまた築きはじめるのではないだろうか?新しい管理者が、また情報を独り占めして、権力を伸ばそうとするのではないだろうか?(p.158)

 

つまり、CEOの役割そのものを変えなければ、

人が変われば改革が中断されてしまうという非持続的な状況になると考えたのです。

 

そこで、組織を「クモ」から「ヒトデ」に移行する作戦を立てます。

 

ほとんどの企業は八本足のクモのように機能している(中略)クモの足を一本切り落としても、あなたの手には七本足の生き物が乗っている。クモの頭を切り落とせば、そこにあるのはクモの死骸である(中略)しかし、ヒトデの腕を切れば、新しい腕が再生する。そればかりか、切られた腕から新しい個体が再生することもある。ヒトデにこのような妙技が可能なのは、クモと違い、分散型であるからだ。腕ごとに各主要組織が複製されるからである(p.159)

 

改革の権限を従業員に移譲して、「何でも答えられるCEO万能説」を崩しました。

「CEOは万能どころか、最前線の従業員より事業に詳しいはずがない」

そんな謙虚さからの行動です。

 

CEOは実際に知識を持っている従業員が卓越した業務ができるようその支援に励むべきであって、不完全で不正確で、おそらくは古くなった知識に基づいて、自分で意思決定などするべきではない。

CEOはもはや夕食中、ペーパーナプキンの上に戦略を書きつけるようなことはしない。また、群衆の前に立ちはだかり、素晴らしい演説で彼らを奮起させるようなこともしない。CEOは最も優れたアイデアを思いつくわけでもない。CEOの役割とは社員に力を発揮させ、彼らが自分でアイデアを思いつき、仕事に全存在を投入し、変革を起こす権限を受け入れることができるように支援することである。(p.186)

 

こうした想いから仕掛けた様々な施策を通じて、

各所に権限が移譲された「ヒトデ」型の組織構造を作っていきます。

 

 

 

・・・

 

 

 

これらの一連の変革を通して、冒頭で記したような驚くべき成果をあげてきました。

全ては「従業員第一、顧客第二」の理念に則って、

バリューゾーンにいる従業員たちへの支援を行うという信念に基づいています。

 

僕自身、TABLE FOR TWO大学連合の代表をやっている時、ずっとこう思っていました。

 

僕は1食も給食を届けていない

届けているのは

各大学で、最前線で頑張っている

一人ひとりのメンバーだ

 

そんな想いから、

 

「どうすればみんなが居心地良く活動できるか」

「どうすれば一人ひとりの力を最大限引き出してあげられるか」

 

そればかりを考えていました。

だからこそ、一人ひとりとの対話の時間を大事にしてきたつもりだし、

一昨年には顔の見えない全国のメンバーに会うため自転車で4000kmの旅もしました。

 

そんな僕の想いを完全に代弁してくれて、

見事な成果をもってその力を示してくれたこの本は、

僕の中で一生ものの学びをくれたと思っています。

 

組織のトップの方、経営幹部の方々、組織運営の中心にいる方々・・・

 

ぜひこの本を一度は読んでみてください。

必ずそれぞれの組織に活かせる知恵が見つかると信じて疑いません。

 

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