聞き手を「前のめり」にさせるスピーチ・プレゼン・講演に必要なこと ~準備編~

それでは、前回のイントロ編に引き続き、

 

『聞き手を「前のめり」にさせるスピーチ・プレゼン・講演に必要なこと』

 

と題して、まずは本番前の準備のお話からしたいと思います。

 

■ターゲット・ゴール設定

■ストーリー作り

■スライド作り

■原稿作り

■練習の仕方

 

を、6つのコツに分けて綴っていきます。

 

記事の最後に6つのコツのまとめも書いてありますので、

「一発で全部覚えなきゃ・・・」なんて肩肘張らず読んでくださいね。

 

 

 

 

 

[準備編]

 

 

 

その?:3つの問いに答える(ターゲットとゴール設定)

 

「伝える」は、“目的”ではなく、“手段”です。

伝えたことを覚えてもらえばOKなわけではありません。

伝えた先で、相手に何かしらの変化を期待するのです。

 

そこで必要なのは「ターゲット」と「ゴール」の設定です。

そのために、次の3つの問いに、順番通りに答えてください。

 

(1)どんな人に

(2)どうなって欲しく

(3)そのために何を伝えるのか

 

「順番通りに」、です。

 

(1)どんな人に

→これは、「来てくれた人に」「多くの人に」なんていうのが論外なのはもちろん、「大学生に」など漠然としているのもGOODではありません。「大学生」なら、例えば「途上国の為に何かしたいと思いながらも、自分一人でやることになんて意味がないと思っている大学生」くらいにまでは落とし込みます。もちろん、参加者全員が狙い通りの人ばかりになることなんて滅多にありません。しかし、ターゲットを明確にすればするほど、どのような広報戦略を練ればいいかも見えてきます。結果、ターゲットに近い参加者を多く呼べることに繋がります。

 

(2)どうなって欲しく

→(1)の人が、自分が伝えた先でどう変化して欲しいのか、理想像を描きます。よく聞くのが、「みんな想いは違うのだから、それぞれの人が、それぞれの人なりの発見があれば良い」という言葉です。最もらしく聞こえますが、これだけではやはりGOODではありません。「絶対にこれだけは持って帰って欲しい想い」というものを語る側は強烈に持つべきです。例えば「たった一人の行動にも意味があると感じ、すぐに起こせるアクションを考案し、実行してもらう」など。それに加えて、先ほど言った「それぞれの違った学び」も+αの部分としてあればベターですよね。でもそこはあくまで+αです。

 

(3)そのために何を伝えるのか

→これがあなたの話す内容に当たります。(1)の人が、(2)になるために、何を伝える必要があるのか。大事なのは、「あなたが話せる内容ありき」ではなく、「相手に起きて欲しい変化ありき」だということ。後者において、自分の話だけでは力不足だと思える時もあります。その時は、適した別の人を連れてくる・他者の話の引用を使う・別途ワークを組む・・・などの手段も見えてきます。僕も先日、「ここの部分は自分の持ってる話では響かないな・・・」と感じた部分があり、適した人にバトンタッチしました。「自分ありき」ではありません。「相手ありき」です。だからこそ、「(1)→(2)→(3)」の順番で考える必要があるのです。

 

 

 

その?:聞き手の「感情の波」を作る(ストーリー作り)

 

これまで色んな方のお話を聞いてきました。

おそらく、大学の授業を抜いて、

50回以上は講演会やシンポジウムなどに足を運んで聞いています。

 

そんな中で、あまり面白くない話に共通すること・・・

 

話に緩急がない

 

なので、自分が話す内容が進むに従って、

聞き手の感情に波を起こすようにストーリーを組み立てます。

 

一例ですが、以下のように、

紙の上に時間軸に合わせて「感情曲線」を書いてみるといいです。

 

 

振れ幅が大きいほどギャップで話が印象に強く残ると感じています。

 

ついでに余談です・・・

上記の例の中の話にはなりますが、

僕の中でこんな原則を持って話すようにしています。

 

(1)悲しい話(真面目な話)をする時は、相手に心の準備をさせる

→直前に休憩を一度入れたり、「大事な話なのでしっかり聞いてください」と念押します。その想いはこちらに詳しく書いています。↓

『アフリカの事を話す時に僕が考えること。』

 

(2)最後は希望を持ってもらうように終わる

→悲惨な現実を知った罪悪感などで人を動かすのではなく、「自分にも変化を起こせるんだ」という希望を持って帰ってもらえるように話を組んでいます。

 

 

 

その?:スライドの文字を極力減らす(スライド作り)

 

以下の二つのスライドを見比べてみてください。

 

スライド?

 

 

スライド?

 

どっちが見栄えいいですかね~。

 

おそらく、「親切なスライド」を選べと言われたら、?だと思います。

 

ただし、今回の大前提である「『前のめり』にさせるスライド」はと言うと、

?の方です。

 

?のスライドにすると、

お客さんは間違いなく、あなたが話している間、スライドを見ています。

そして一生懸命ノートにスライドの内容を写しています。

 

つまり、あなたの方を見てもらえません。

 

?のスライドにした時、お客さんの頭の中に浮かぶ言葉はなんでしょうか?

 

「『96%』って、なんの数字だろう・・・

「『5秒』って、何を表しているんだろう・・・

 

この、頭にクエスチョンマークを浮かばせるのが、

「前のめり」にさせるコツです。

 

命名します・・・

 

下品に言うならば「ちらりズム作戦」

上品に言うならば「をくゆかし作戦」

 

「その先が気になる・・・!」

 

と思わせると、相手は「前のめり」になります。

あなたの話を全力で聞く準備が整います。

 

そうなって初めて、

 

「この『96%』という数字、なんだか分かりますか?なんと、栄養不足人口のうち、96%は途上国の人たちなんです。」

「『5秒』。このたった5秒の間に、飢えを理由に世界では一人命を落としているんです。」

 

と説明します。

 

主役はスライドではなく、あなたです。

 

「読ませるスライド」を作る必要はありません。

「気になるスライド」を作るんです。

スライドには必要最低限のキーワードだけを載せればいいんです。

後はお客さんにしっかりあなたの方に注目してもらうこと。

そして、あなたの魂のこもった言葉で、目を見て伝えてあげてください。

 

 

 

その?:スライド間の『接続詞・枕詞』を考える(スライド作り)

 

せっかくお客さんの感情の波を作る全体のストーリーを組み立てました。

なのにスライドと次のスライドの繋がりがよく分からない・・・

あちこちに話が飛ぶスライドの流れだと、萎えます。

 

それを防ぐための方法が、

 

スライドとスライドの間の

『接続詞・枕詞(まくらことば)』を考える

 

です。

いくつか例を挙げると、

 

■順接

「〈スライド?〉だから〈スライド?〉・・・」

「〈スライド?〉、そのため〈スライド?〉・・・」

 

■逆説

「〈スライド?〉、しかし〈スライド?〉・・・」

「〈スライド?〉、ところが〈スライド?〉・・・」

 

■並列

1つ目に・・・〈スライド?〉」

2つ目に・・・〈スライド?〉」

 

無秩序にスライドを並べてしまっていないか・・・

「接続詞」と「枕詞」でチェックしてみてください。

 

 

 

その?:一字一句の原稿を作る(原稿作り)

 

白状します。

昔はやっていませんでした(笑)

 

だけど、実際は一字一句の原稿を作った方が、

パフォーマンスが上がっていると実感しています。

 

細かい言い回しまで一字一句こだわった原稿を一度作っておく。

すると、本番でその言葉を自信を持って発することができます。

「ここまで練り上げた言葉なんだから・・・」と。

 

ただ、原稿を作るにあたって、大事なことが2つあります。

 

(1)「話し言葉」を意識した原稿を作る

→原稿作りに夢中になると、特にPCでタイプしていると、ついつい「書き言葉」で作り上げてしまいます。その原稿で練習して、いざ本番でもそのまま話すと、非常にカタクルシク、ギコチナイ語りになります。なので、「実際に人前でこの言葉づかいで話す」という意識を強く持って、「話し言葉」の原稿を作る事が大事です。

 

(2)本番で本当に一字一句原稿通りに喋る必要はない

→本番では、お客さんの顔を見ながら「今のところちょっと説明不足だったかな・・・」など様子を見ながら、話す言葉を少しずつ修正すると良い語りができます。それができるのも、ベースとなる原稿が頭の中に叩き込まれているからですが、逆にあまりにも原稿に引っ張られすぎるのは危険です。本番での柔軟性を失い、予期せぬ事態(話す時間の短縮が急遽要求される、途中でお客さんから質問が入る、原稿の内容を一部ど忘れする・・・etc)が起きた時に対応できなくなります。「一字一句まで詰めて練習したんだ!」ということを“自信にする”のは大事です。でもだからといって、「完全にその通りに喋らなければ・・・」というプレッシャーを自分にかけないように・・・

 

ちなみに、僕は本番では原稿を一切見ません。

一切見なくても大丈夫なところまで練習し尽くします。

[本番編]でも書く予定ですが、

話している時に目線がどこを向いているかは非常に大事です。

 

実際に原稿を作る時の「響く言い回し・言葉作り」のコツは、

[言葉作り編]の方でいくつか紹介したいと思います。

 

 

 

その?:お客さんを想像してリハーサルをくり返す(練習)

 

僕は可能な限り、事前に参加者の名簿と、

できればプロフィールをもらうようにしています。

 

それを眺めながら、その?の(1)で立てたターゲット像と合わせて、

「この人は、こんな顔をしていて、こんな背景で来ていて、こんな性格をしているだろう」

というお客さん像を、勝手に作り上げます(笑)

 

でも、喋る練習をする時は、

そういう「特定の誰か」に向けてやった方が効果が高いです。

それがたとえ想像上の人物像だったとしても。

 

ビジネスの世界でも、ターゲット像を可能な限り明確にするという作業はよくあります。

僕のいた会社でも、カスタマーの年齢、職業、服装、家族構成まで・・・

あらゆる細かいところまで想定して、商品設計などをしていました。

(僕はまだ未熟でしたが・・・)

 

同じように、プレゼンや講演でも、

お客さん像を可能な限り明確にして練習するといいと思います。

 

練習の回数の話に移ります。

 

僕はだいたい5~7回くらい、時間計ってやってみます。

 

最初の3回ぐらいは原稿を読みながら。

それで時間オーバーするようなら原稿を削ったりします。

違和感がある箇所があれば、話す順序を変えたり、細かい言い回しを変えたりもします。

 

4回目以降は、実際にスライドを使いながら、原稿は見ずに、納得いくまで繰り返します。

ここで、クリックしてスライドを進めるタイミングなども掴みます。

本番では、スライドを見なくてもクリックの回数で、

今どの画像がどんなアニメーションで出ているかが分かるくらいまでになっています。

 

 

 

 

 

~まとめ~

 

[準備編]のまとめをしたいと思います。

 

 

 

■その?:3つの問いに答える(ターゲットとゴール設定)

→(1)どんな人に、(2)どうなって欲しく、(3)そのために何を伝えるか、に「順番通り」に答えていく。一つひとつの答えにできるだけ具体性を持たせて。「自分が話せる内容ありき」ではなく「相手にどうなって欲しいかありき」。後者のためであれば、別の話し手を呼ぶ・引用を使う・別途ワークを組む、などの手段も駆使する。

 

■その?:聞き手の「感情の波」を作る(ストーリー組み立て)

→緩急のない話はつまらない。時間軸に沿った感情曲線を描き、振れ幅を大きくし、印象深いストーリーを作る。

 

■その?:スライドの文字を極力減らす(スライド作り)

→「親切なスライド」ではなく、「前のめりになるスライド」を作る。主役はスライドではなく、あなた。「ちらりズム・をくゆかし作戦」で、注目をひく。


■その?:スライド間の『接続詞・枕詞』を考える(スライド作り)

→せっかく作ったストーリーを台無しにする無秩序なスライド構成になっていないか。スライド間の「接続詞・枕詞」をチェックする。

 

■その?:一字一句の原稿を作る(原稿作り)

→本番で自信を持って話せるように、その時点でベストだと思う原稿を一字一句作る。ただし、「実際に使う話し言葉で作成する」ことと「本番で本当に一字一句原稿通りにしなくていいという柔軟性」を大事にする。

 

■その?:お客さんを想像してリハーサルをくり返す(練習)

その?の(1)で想定したターゲット像に加えて、想像上であってもいいから可能な限りお客さんを明確にイメージする。その「特定の誰か」に向けて話す練習を繰り返す。

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

以上で、[準備編]は終わりになります。

 

長文読んでくださってありがとうございました!m(__)m

コメントで、ご感想やご意見、アドバイスなどもいただけると更に嬉しいです!

というのも僕も勉強の身なので、ぜひ皆様の知恵をお借りしたいのです。

この一連の記事は、建設的な議論のきっかけとなることが理想です。

 

 

 

次回は、[言葉作り編]です。

 

相手を前のめりにさせる言い回しの作り方など、

細かいテクニックを少し紹介できればと思います。

 

[追記]

※第3弾[言葉作り編]書けました!↓
http://eijipress.co.jp/chicken/?p=3192

 

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