カテゴリー別アーカイブ: 本の紹介

読んだ本を紹介します。

「自分に“しか”できないこと」と「自分“だから”できること」の違い ~『難民高校生』を読んで~

以前から「ピン」ときていて、読もうと思っていた本を昨日読み終えました。

 

『難民高校生 絶望社会を生き抜く「私たち」のリアル』
著:仁藤夢乃、英治出版

http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2155

 

 

 

~概要~

著者の仁藤さんは、家庭・学校との繋がりを失い、渋谷を彷徨い歩く「難民高校生」でした。

その時に抱いていた絶望感や、同じく難民化した知り合い達の現状をリアルに語っています。

拒食と過食の繰り返し、妊娠と中絶、自殺未遂・・・(これは仁藤さんの知り合いの話です。)

その内容は、心が締め付けられるほど深刻でした。

 

高校を中退した後、高認(高等学校卒業程度認定試験)予備校でのある方との出会いをきっかけに、

信頼できる人たちに触れ、仁藤さんの世界観や視野が広がってゆきます。

ここから、大学への入学、そして一般社団法人Colaboの立ち上げへと羽ばたき、

東日本大震災被災地の高校生達との寄付金付きお菓子の共同開発を始め、

 

~出会いを創造し、社会を活性化させる~

 

を理念に、若者と社会を繋げるきっかけの場作りに尽力されています。

 

“ダメな子”扱いされて、見た目や社会的地位から一括りに「最近の若者は・・・」と言われる彼女らに対して、

大人はもっと「一人ひとりを個人として見て、向き合うべきだ」と自らの体験から提言します。

同時に、そういう若者達自身にも、「あなた“だから”できることが必ずある」と、

自分自身の存在価値を認めるように促しているようにも感じました。

 

 

 

そんなこの本から得たメッセージを、難しいと思いながらもあえて“一言”で僕なりにまとめるなら、こうなります。

 

目の前の誰か、そして自分自身に対し、

「“唯一無二の存在”としての尊厳」を抱きなさい。

 

仁藤さん自身、そうやって向き合ってくれる大人に出会うことで変わっていったように思うし、

自分自身に対しても尊厳を抱くことで、自己肯定感を生み出し、希望を抱けるようになっていくと感じます。

僕がマザーテレサを尊敬しているところは、“奉仕の精神”というよりも、

一人ひとりに対して「あなたは望まれて生まれてきたのです」と尊厳を持って接し続けた姿勢です。

 

この本からの学びは本当に多く、こちらのレビューサイトに色々書かせていただきました↓

 

http://booklog.jp/users/fantasista10/archives/1/4862761550

 

被災者の「してもらう」が続く中での息苦しさなど、

国際協力の活動をしている身として決して忘れてはいけない視点だと痛感しました。

 

 

 

そんな数ある学びの中でも、僕が今回一番声高に伝えたいのは、

著書の中の仁藤さんのこの言葉です。

 

「私に“しか”できないこと」はこの世の中にほとんどないと思っている。

しかし、

「私“だから”できること」はいくらでもあると思っている。

 

この言葉、よ~く噛み締めてみて欲しいんです。

 

・・・

 

上述の通り、「わたし」という存在・「あなた」という存在に対する“唯一無二性”は忘れてはいけないと思っています。

誰もが「個人」として向き合われるべき尊い存在です。

 

だけど、「自分にできること」を探す時、この“唯一無二性”に囚われ過ぎてはいけません。

自分に“しか”できないこと・・・ってなんだ?(汗)」

僕だったら、見つからなくて途方に暮れて(笑)、何も動き出せなくなります。

 

だからこそ、「自分“だから”できること」に目を向けるんです。

 

こちらには、“唯一無二性”はないことがあります。

同じ想い・経験を持って活動している人がすでにいるかもしれません。

でも、それでいいんです。

だったら協力すればいいんだから。

 

自分の実体験に基づく「自分“だから”できること」には、次の二つの良さがあると思っています。

 

(1)頭とハートが繋がる

この本と同じ英治出版さんの『国をつくるという仕事』の著者、僕が心底尊敬する西水美恵子さんから言葉を借りています。実体験に基づく想いから生まれる行動には、当事者意識が宿り、“頭とハートが繋がった”キラリと輝く活動となります。

(2)負の経験が生きる

「痛みを知る人こそ、優しさを持って寄り添える」と思っています。自分が過去に苦しんだこと、辛かったこと、コンプレックスは、いつか誰よりも強い武器へと変わります。経験した「あなた“だから”」寄り添える人が必ずいます。仁藤さん自身がそうであるように、そして僕自身の“チキン”もそうであるように(笑)

 

だから、たとえ“唯一無二”のことでなくとも、自分の実体験をよくよく振り返って、

「自分に“しか”できないこと」以上に、「自分“だから”できること」に目を向けてほしいです。

 

美恵子さんからいただいた初めてのメールで、こんな言葉をいただきました。

 

人生は学習の道。

山あり海あり嵐あり、くねくね曲がった道でしょう。

なにがあっても、それを自分の糧としてください。

※美恵子さん、引用料は著書を広めることで返させていただきます(笑)

 

「あってよかった」なんて、口が裂けても一生言えないような経験はあります。

だけど、その後に生かせない経験はありません。

それはその人次第。

 

すべてを糧とし、僕自身も「自分“だから”できること」に転換していきたいと思います。

 

 

 

ちょうど、「当事者としての言葉」を紡ぎ出す決意の日が近づいているところでした。

 

すべては小さな“1”の積み重ね
~もう1歩先へ進みたいあなたへ~

6月7日(金)18:00~@東京外国語大学
残り18席:5月28日17:00時点)

http://www.facebook.com/events/186381288181830/

 

本当に素晴らしいタイミングでこの本に出会えました。

丸裸になって経験や想いを綴ってくださった著者の仁藤さん、

そして世に送り出してくれた英治出版さんに心から感謝です。

当日に向けて、勇気をいただきました。

 

ちなみに、僕の上記のイベントの前日、仁藤さんのトークライブが新宿であります↓

 

2013年6月6日(木)19:00~
@紀伊国屋書店新宿南店

http://www.eijipress.co.jp/blog/2013/05/09/15396/

 

大事な日の前日ですが、僕もお邪魔しようかと思っています。

ご一緒する方いましたらぜひ!

 

代表任期中に出会いたかった・出会ってよかった10冊の本。(前編)

突然ですが、僕は本が大好きです。

 

人と直接会って話して学ぶのもとっても大事。

だけど、僕は基本的に人見知りなのです(笑)

 

完全にマイペースで著者と対話できて、

その1冊には千円や二千円で買えてしまうには安すぎるほどの著者の経験・叡智が詰まっていて、

もう会うことのできない過去の人たちにも触れることのできるものです。

 

大げさでなく、人生変えてもらった本もあるくらいです。

 

今日は、そんな素敵な本に関して、

ここ数年の間に読んだ300~400冊の中から、

 

代表時代に出会いたかった・出会ってよかった

 

と心から思える本を10冊ピックアップしてみました。

今何かしらの団体に所属して頑張っている方、

ぜひ参考にしていただけたらと思います!

 

(注:紹介する順番は、特にランキング順という訳ではありません。)

 

 

 

 

 

(1)『国をつくるという仕事』

 

著:西水美恵子、英治出版
http://p.tl/aQQC

 

「ランキング順ではない」とか言ったそばから、この本は堂々の第一位です。この本がなければ今の僕はありません。このブログが立ち上がるきっかけになった自転車旅もありません。僕が普段講演でお話しさせていただいてるブータンの奇跡もありません。これまで何人にこの本を買わせてきたか・・・(笑)オススメする時、僕はこう言っています。「リーダーシップの本を10冊読むなら、これ1冊を読んで」

この本の学びを一言で表すなら、「リーダーたるもの、草の根を歩き、民の声を聴け」です。徹底的に現場感を大事にされてきた著者の元世界銀行副総裁・西水美恵子さんの信念・行動や、短編集の中で紹介されている各国のリーダー達に、胸を打たれ続けました。特に、ブータンの章は必読です。国民の為なら喜んで権力を放棄し、「王の足跡の無い村は無い」と言わしめるほど徹底的に自らの足で国を歩き周り民の声を聴き続けた国王と王妃の話に、どれだけ影響を受けたことか。リーダーの立場にある方は、絶っっっ対に一回は読んで欲しい本です。印税がブータンの苦しんでいる方々の支援に寄付されますので、できれば「買って」欲しいです。

 

 

 

(2)『社員を大切にする会社 5万人と歩んだ企業変革のストーリー』

 

著:ヴィニート・ナイアー、英治出版
http://p.tl/78tQ

 

「出会いたかった本」第1位です。なんでもっと早く出版してくれなかったの!!!なんて言っても後の祭り。僕自身、TABLE FOR TWO大学連合の代表時代ずっとこう思っていました。「きっと僕自身は1食も給食を届けていない。実際に届けているのは、各大学にいて最前線で頑張っている一人ひとりのメンバー達」。だからこそ、僕がやるべきことは、メンバーが居心地よく活動できる環境を整えることであり、彼らの力の最大発揮こそ、組織のミッション達成に一番大きく貢献する手段だと。そんな僕の想いを完璧に言語化し、そして実際に行動し、驚くべき成果を上げた企業の物語です。

その企業が組織改革の際に掲げた企業理念が、「従業員第一、顧客第二」です。「お客様は神様」と言われる世界で、堂々と「顧客第二」?そう思われるかもしれません。ただ僕は、上記の想いがあったので、これを聞いた瞬間ピンときたんです。「あっ、それが結局は顧客満足度を最大化する結果に繋がると分かっているんだな」と。ビンゴでした。理念を掲げてから4年で、「離職率:半減」のみならず、「売上・利益:共に3倍、顧客の数:5倍」。具体的な施策はぜひ著書を読んでみてください。「メンバーを大切にして最大の成果を発揮したい」と思う方、必見です。改めて、もっと早く出会いたかった・・・

 

 

 

(3)『ビジョナリー・カンパニー? 衰退の五段階』

 

著:ジム・コリンズ、日経BP社
http://p.tl/OtYJ

 

世界的ベストセラー「ビジョナリー・カンパニー」シリーズ全4作の3作目です。全4作の副タイトルを見ていくと、?は「時代を越える生存の法則」、?は「飛躍の法則」、?は「衰退の5段階」、?は「自分の意志で偉大になる」です。・・・お気づきでしょうか?今回紹介する?だけネガティブなんです。この本が喚起してくれることは、一言で言うと「危機感」です。僕もこれを読んで背筋がゾッとしたのを覚えています。

「うちの団体は衰退してないから大丈夫!」、そう思ったあなた・・・それはすでに、衰退の第一段階「成功から生まれる傲慢」、もっと悪ければ、第三段階「リスクと問題の否認」にまで症状が進んでいるかもしれません。どうぞお気をつけて。

 

 

(4)『小説 上杉鷹山 全一冊』

 

著:童門冬二、集英社
http://p.tl/MoTL

 

「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり」・・・一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?第9代米沢藩主・上杉鷹山が詠んだうたです。それでは、こちらはご存知でしょうか?「受け継ぎて 国の司の 身となれば 忘るまじきは 民の父母」・・・17歳にして藩主を受け継ぎ、「国のトップとなったからには、忘れてはいけないのは、自分は国民の父母であることだ」と自戒したのです。

就任当初からの超財政難、内部の権力争い、追い打ちをかけるように天明の大飢饉・・・これらの辛すぎる困難を乗り越え、内村鑑三が著書『代表的日本人』の中で5人の中の1人に選び、ジョン・F・ケネディが「尊敬する日本の政治家は?」の問いに「Yozan Uesugi」と答えた名君の真髄は、「トップこそが民に仕えるべき」という姿勢:サーバント・リーダーシップにありと思っています。700ページ近い本にも関わらず、吸い込まれるように1日で読み切ってしまった名著です。ぜひ過去の偉人の知恵を授かってください。

 

 

 

(5)『スティーブ・ジョブズ 脅威のプレゼン 人々を惹きつける18の法則』

 

著:カーマイン・ガロ、日経BP社
http://p.tl/nVsH

 

「代表」は、「“代”わりに“表”に立つ」と書きます。就任してから、人前で話す機会は圧倒的に増えました。引退後も講演活動を続け、これまで40~50回くらい話してきたと思いますが、「話す技術」において最も役に立った本は間違いなくこの1冊です。他にも「スピーチの天才100人から学ぶ~」みたいな本なども読みましたが、「話す技術」においては圧倒的にこの本が一位です。この記事を読んでもらえれば分かると思いますが、僕は人前で話すのがスーパーダメな人間でした。それが今では、話し方についてはだいぶ色んな方にほめていただけるようになりました。場数や色んなスピーカーを研究した成果でもありますが、間違いなくこの1冊も大きく影響しています。

「マジックナンバー:3」「話の中に敵を登場させろ」「スライドに文字を詰め込むな」・・・以前読んでから数年経っていますが、今でもそらんじて言えて染み付いている法則がたくさんあります。そして何より、スティーブ・ジョブズはただの天才ではなく、めちゃめちゃ練習してこそのあのプレゼンだったという事が多きな衝撃でした。それからというもの、僕もめちゃめちゃ練習するようになりました。この前の6分間のスピーチなんて30回は練習しましたよ。そこまで練習したくなってしまほど、影響力のあった1冊です。「話す技術」なら、この1冊を。

 

 

 

 

 

・・・ってところで、ちょっと書くの疲れてきました(笑)

前半の5冊を紹介したところで、いったん終えようと思います。

 

後半はまた後日!

 

『社員を大切にする会社』 ~「従業員第一・顧客第二」の理念で、売上・利益3倍、顧客数5倍!?~

“Employees First, Customers Second”
「従業員第一、顧客第二」

 

「お客様は神様」と言われる世の中で、堂々と「顧客第二」・・・

こんな理念を掲げて組織変革に挑んだ会社があります。

インドのHCLテクノロジーズというIT企業です。

 

こんな理念を掲げて、どうなったと思いますか?

 

 

 

4年で、離職率半減。

 

 

 

これはなんとなく想像できますよね。

「従業員第一」にしているわけですから。

 

でも、それだけじゃなかったんです。

 

 

 

売上・利益、共に3倍

顧客数、5倍

 

 

 

・・・どうしてこんなことが起こるのでしょうか?

 

 

 

顧客に実際に価値をもたらしているのは、経営陣やトップではなく、

顧客接点のある最前線の一人ひとりの従業員です。

彼らのパフォーマンスが良くなければ、当然顧客満足度も下がります。

 

ということは、逆も然り。

 

従業員の事をなによりも大切にして、彼らの力が最大限発揮される環境を整える。

そうして彼らが良いパフォーマンスを出せれば、顧客満足度は上がります。

 

つまり、

 

 

 

従業員・メンバーを第一にすることは

ゆくゆくは顧客満足度の最大化に繋がる

 

 

 

ということなんです。

「顧客第二」は、決して顧客を軽んじているわけではないのです。

 

 

 

著:ヴィニート・ナイアー、英治出版

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『社員を大切にする会社 ―― 5万人と歩んだ企業変革のストーリー』

 

今日紹介するのは、そんなHCLテクノロジーズのCEOが書いた本です。

 

「従業員第一、顧客第二」の理念に沿って、

どのような企業変革の道を歩んでいったのか・・・

その一連の物語が綴られています。

 

はっきり言えます。

 

代表任期中に出会えなかったのが悔やまれる!!

 

それほどの本です。

 

 

 

[こんな人にオススメ]

■メンバーの力を最大限引き出して集合知を生み出す方法を模索している方

■何らかの組織変革を行いたいが、どこから着手したらいいか分からない方

■トップダウン式のリーダーシップ感に疑問を抱いている方

 

 

 

以下、成果を生み出す「従業員第一、顧客第二」の企業変革の歩みを、

簡単に記していきたいと思います。

 

この記事でこの本の全部を知ってもらおうとは思っていません。

綴るのは概略だけに留めます。

CEOのヴィニート・ナイアー氏が、具体的にどんな施策を打ったのか、

そこに関しては数個の事例にしか触れませんので、

関心を持った方はどうかぜひお買い求めの上、

自分の目で読んでください!

 

 

 

====================

~企業変革の流れ~

1.鏡の中をのぞく

2.透明性を通して信頼を築く

3.ピラミッドを逆さまにする

4.変革の権限を、CEOから従業員へ

====================

 

 

 

1.鏡の中をのぞく

 

いつ人は変わりはじめるのだろうか?鏡を見たときである。(p.15)

 

人も企業も、「変革する」ということは、

「A地点からB地点へ移動する」ことです。

 

この時、そもそも出発点であるA地点が分かっていなければ、

B地点に辿りつく計画は立てようがありません。

 

だから、まずはスタート地点・・・「自分たちの現状」を把握する必要があります。

それが「鏡を中をのぞく」の意味です。

 

これは、多くの場合、「目を背けたい現実」に向き合うことを意味します。

 

「鏡よ鏡」とはコミュニケーション・エクササイズである。社内のあらゆる従業員と対話し、あるがままの真実について語り合うことによって、基本的に誰もが気づいていながらも、決して口に出そうとしない、重大な事実を従業員に認識させるというものだ。(p.33)

 

CEOのヴィニート・ナイアー氏は、

実際に世界中の拠点を回り、あらゆる階層の従業員と語り合います。

そしてあるがままの自社の姿に気付き、変革の必要性を認識させようとします。

 

すると、従業員の中には3つのタイプの反応があったそうです。

 

?変革者:すでに現状に不満を抱いていて、変革を待ち望んでいた人たち

?喪失者:否定的な意見に固執し、変革の可能性を信じない人たち

?傍観者:変革者と喪失者を見ているだけで、成り行きを見守るだけの人たち

 

100%の支持を得ることはできません。

ただし、変革に必要な「クリティカルマス(必要不可欠な数)」は、

全従業員の10%で十分だと考え、?変革者たちに焦点を当てていきます。

彼らを変革の列車に乗せるために、将来像(B地点)を見せます。

それが「従業員第一、顧客第二」というビジョンです。

 

 

 

2.透明性を通して信頼を築く

 

こうして変革の必要性が認識されたとしても、

経営者と従業員の間に「信頼」がなければ実行には至りません。

 

そこでヴィニート・ナイアー氏は、「組織の徹底的な透明化」に着手します。

財務情報の従業員への公開から始まり、

従業員なら誰でも自由に質問を投稿でき、

経営陣が応えるオンラインフォーラムを作ります。

これは、誰もが投稿された質問内容や回答内容が見れるオープンなサイトです。

結果、社員の愚痴や不平不満も大量に出たそうですが、

思わぬ利点もあったのです。

それは、ある社員の質問に、他の社員が答える、という社員同士の助け合いの姿でした。

 

いざ実践してみてわかったのは、社内の大半の人間が会社の問題点によく気づいていることだ。それも、時には経営幹部が気づくよりも前、少なくとも彼らがようやく問題があることを認めるようになる前からだ。事実を明らかにし、問題点を公にすると、従業員は自分たちも当事者であるという自覚を持つようになる。そして、会社が抱えている問題は経営側の問題であるばかりではなく、本当は自分たちの問題でもあることに気づきはじめる。経営幹部が重要な事実を、たとえ悪い内容であっても打ち明け、その事実について率直な対話を促すなら、経営陣が本気だと従業員も信じるだろう。すると、経営幹部が対応策や解決策について方針を決めるよりも先に、従業員レベルから何らかの積極的な行動が始まる。指示されなくとも、従業員が問題に取り組みはじめる ? そんな光景を私たちは何度も目にしてきた。(p.17)

 

こうして、透明性の確保による改革は一定の成功を及ぼしました。

 

 

 

3.ピラミッドを逆さまにする

 

このような前向きな変化がもたらされても、まだ完全ではありません。

最善の結果が生まれるのを妨げ、持続する変革の壁になっているのは、

ピラミッド型の組織構造だとつきとめます。

 

つまり、経営陣がトップにいて、真ん中にバックオフィス、

そして実際に顧客に価値をもたらしている最前線の従業員が底辺にいるという構造です。

 

価値を生み出す「バリューゾーン」にいる従業員達が底辺にいるのはなぜ?

 

ヴィニート・ナイアー氏は、この伝統的なピラミッドを思いきって逆さまにします。

つまり、バリューゾーンにいる従業員達をトップに置いて、

バックオフィスや経営陣こそが、彼らに対してアカウンタビリティ(説明責任)を負う、

という逆ピラミッド型の組織構造にしたのです。

 

行った施策のひとつの具体例として、スマート・サービス・デスク(SSD)という仕組みがあります。

 

これは、最前線のバリューゾーンにいる従業員達が何か問題を抱えた際に、

然るべきバックオフィスの人たちに回答期限付きの課題チケットを送るのです。

受け取ったバックオフィスの人たちは、期限内にそれを解消する義務を負います。

つまり、「従業員がバックオフィスの人々に様々な義務を負う」という通常のアカウンタビリティが逆転しているのです。

この取り組みはやがて、「再発防止にこそ価値がある」との気付きから、

チケットゼロを目指す運動にも繋がっていきます。

 

 

 

4.変革の権限を、CEOから従業員へ

 

ここまで変革を行ってもまだ足りないと感じるのが著者のすごいところです。

彼はこう思いました。

 

このまま成長を続けながら、この「従業員第一、顧客第二」からぶれずにいるにはどうしたらいいのだろうか?突然、ある人々が出てきて、伝統的なピラミッド組織をまた築きはじめるのではないだろうか?新しい管理者が、また情報を独り占めして、権力を伸ばそうとするのではないだろうか?(p.158)

 

つまり、CEOの役割そのものを変えなければ、

人が変われば改革が中断されてしまうという非持続的な状況になると考えたのです。

 

そこで、組織を「クモ」から「ヒトデ」に移行する作戦を立てます。

 

ほとんどの企業は八本足のクモのように機能している(中略)クモの足を一本切り落としても、あなたの手には七本足の生き物が乗っている。クモの頭を切り落とせば、そこにあるのはクモの死骸である(中略)しかし、ヒトデの腕を切れば、新しい腕が再生する。そればかりか、切られた腕から新しい個体が再生することもある。ヒトデにこのような妙技が可能なのは、クモと違い、分散型であるからだ。腕ごとに各主要組織が複製されるからである(p.159)

 

改革の権限を従業員に移譲して、「何でも答えられるCEO万能説」を崩しました。

「CEOは万能どころか、最前線の従業員より事業に詳しいはずがない」

そんな謙虚さからの行動です。

 

CEOは実際に知識を持っている従業員が卓越した業務ができるようその支援に励むべきであって、不完全で不正確で、おそらくは古くなった知識に基づいて、自分で意思決定などするべきではない。

CEOはもはや夕食中、ペーパーナプキンの上に戦略を書きつけるようなことはしない。また、群衆の前に立ちはだかり、素晴らしい演説で彼らを奮起させるようなこともしない。CEOは最も優れたアイデアを思いつくわけでもない。CEOの役割とは社員に力を発揮させ、彼らが自分でアイデアを思いつき、仕事に全存在を投入し、変革を起こす権限を受け入れることができるように支援することである。(p.186)

 

こうした想いから仕掛けた様々な施策を通じて、

各所に権限が移譲された「ヒトデ」型の組織構造を作っていきます。

 

 

 

・・・

 

 

 

これらの一連の変革を通して、冒頭で記したような驚くべき成果をあげてきました。

全ては「従業員第一、顧客第二」の理念に則って、

バリューゾーンにいる従業員たちへの支援を行うという信念に基づいています。

 

僕自身、TABLE FOR TWO大学連合の代表をやっている時、ずっとこう思っていました。

 

僕は1食も給食を届けていない

届けているのは

各大学で、最前線で頑張っている

一人ひとりのメンバーだ

 

そんな想いから、

 

「どうすればみんなが居心地良く活動できるか」

「どうすれば一人ひとりの力を最大限引き出してあげられるか」

 

そればかりを考えていました。

だからこそ、一人ひとりとの対話の時間を大事にしてきたつもりだし、

一昨年には顔の見えない全国のメンバーに会うため自転車で4000kmの旅もしました。

 

そんな僕の想いを完全に代弁してくれて、

見事な成果をもってその力を示してくれたこの本は、

僕の中で一生ものの学びをくれたと思っています。

 

組織のトップの方、経営幹部の方々、組織運営の中心にいる方々・・・

 

ぜひこの本を一度は読んでみてください。

必ずそれぞれの組織に活かせる知恵が見つかると信じて疑いません。

 

『ザ・フォロワーシップ』 ~共通目的達成のためにフォロワーがすべきこと~

今日は読了ほやほやのこの本の紹介です↓

 

『ザ・フォロワーシップ 上司を動かす賢い部下の教科書』著:アイラ・チャレフ、ダイヤモンド社

 

一言で言うと、原作タイトルの通り「勇敢なフォロワー」であるために必要なことがまとめられている本です。

 

 

 

[こんな人にオススメ]

 

■リーダーの側近にいるフォロワー(副代表など)で、リーダーの支え方や角の立たない批判の仕方を知りたい人

■特に大きな役職を持たないフォロワーで、組織の共通目的達成のために自分に何ができるかを考えている人

■リーダーの立場にある人で、つい保身を考えて批判から逃れようとしてしまう人

 

 

 

[概要]

 

(1)フォロワーに宿る力と責任(序章~第2章)

(2)リーダーの支え方から、リーダーへの告発・組織脱退まで(第3章~第6章)

(3)力あるフォロワーに対するリーダーのあるべき姿勢(第7章)

 

 

(1)フォロワーに宿る力と責任(序章~第2章)

組織の中では、リーダーの数よりフォロワーの数が多いのが普通です。

そんなフォロワーの第一義的責任として、「自らの力の最大発揮」が挙げられています。

 

勇敢なフォロワーは、組織のなかで自分の可能性を十分に発揮し、自らの価値を最大限に活かす機会を見つけ、つくり出す。(p.12)

 

また、フォロワーとしてのレベルが、「リーダーへの『支援』と『批判』の度合い」で4つの象限に分けています。

 

第一象限:支援()&批判()→『パートナー』

第二象限:支援()&批判()→『実行者』

第三象限:支援()&批判()→『個人主義者』

第四象限:支援()&批判()→『従属者』

 

本書で何度も書かれているのは、「全ては組織の共通目的の達成のために」という考え方です。

リーダーは多くのフォロワーへの影響力が強いです。

そのため、リーダー自身が共通目的から外れれば組織の危機です。

そんな時に、危機を早く察知したフォロワーはリーダーに苦言を呈する勇気を持つ必要があります

リーダーへの支援と共に、そのような建設的な批判ができてこそ、そのフォロワーは上記の分類における『パートナー』のレベルに達することができます。

 

 

(2)リーダーの支え方から、リーダーへの告発・組織脱退まで(第3章~第6章)

第3章以降は、具体的にフォロワーはどのようにリーダーを支え、時に苦言を呈し、最終手段としては組織脱退までを行うか、が書かれています。

各章で書かれていることを、簡単にまとめて紹介しようと思います。

 

第3章:リーダーに仕える

フォロワーは、リーダーへの連絡が過剰にならないように調整したり、リーダーに対する不満が執拗に語られるようであれば、組織メンバーにリーダーの長所を思い出させるようなサポートをする必要がある。また、リーダーが次々と繰り出すアイデアの中から、共通目的の実現に最も貢献しそうなアイデアを見極めたり、リーダーに好意を持たないフォロワーとリーダーが親しく付き合えるような促しをする必要もある。

 

第4章:意義を申し立てる

勇敢なフォロワーは、リーダーと結んだ「共通目的達成のための契約」の守護者になる必要がある。そのために、必要に応じてリーダーに意義を申し立てたり、リーダーが他のフォロワーから必要なフィードバックを受け入れられる環境を作る必要がある。

 

第5章:変革に関わる

「忠告さえすれば後の結果には責任を負わない」という姿勢はフォロワーとして好ましくない。勇敢なフォロワーは、嵐が訪れる前にリーダーに変革を促して実行させ、危機を回避するまでの責任がある。その際、リーダーに「自分は非難されている」と感じさせ、批判に対して耳を塞がせてはいけない。「自分は理解されている」と感じさせ、耳を傾けやすくする必要がある。

 

第6章:道義的な行動を起こす

勇敢なフォロワーは、自らの選択や行為さえ道義的であればいいという考えをしてはいけない。同僚やリーダーの選択や行為の道義性も考慮する必要がある。フォロワーシップが最低限守るべきこととして、リーダーについていく・いかないの自らの決断に責任を負わなければならない。非道義的な行為が組織にある場合、組織内部にとどまって変革を起こすか、場合によってはリーダーへの告発・組織からの脱退も視野に入れる。

 

本書を読んでもらえれば、それぞれの場面で「実際にどんな声のかけ方をしたらいいのかの事例集」も載っています。

 

 

(3)力あるフォロワーに対するリーダーのあるべき姿勢(第7章)

 

最後の第7章は、6章までで見てきた勇敢なフォロワーに対して、「リーダーはどうあるべきか」という話になります。

 

アメリカのエンロン社の不祥事、9.11のテロ、カトリック教会の聖職者の小児性愛のスキャンダルなどにおいては、

組織内部では危機に気付き、勇敢にも告発した人がいたそうです。

問題は、その声にリーダーが真剣に耳を傾けなかったこと。

リーダーは「批判を受け入れる扉は開いている」というだけに満足してはいけません。

本書によれば、

 

フォロワーの七〇パーセントは、リーダーが過ちを犯しそうだとわかっていても、それに異を唱えようとはしないそうだ。(p.39)

 

リーダーには、自ら積極的にフォロワーに耳を傾け、「批判をもらいにいく」ぐらいの姿勢が求められるのだと感じます。

フォロワーが批判・不満を恐れずに言える雰囲気・環境作りも大切です。

 

 

 

[まとめ]

 

■リーダーもフォロワーも、「組織の共通目的」から外れてはいけない

■そのためにこそ、フォロワーはリーダーに対して、時に思いやりを持って支え、時に勇気を持って苦言を呈する必要がある

■リーダー自身も、積極的に不満・批判を受け入れる姿勢が必要である

 

アメリカのカーネギーメロン大学のある研究によると、組織が生み出す成果のうち、

■リーダーや経営陣によるもの:20%

■フォロワーによるもの:80%

だそうです。

 

一人ひとりのフォロワーに備わった力・責任に気付き、

勇敢な行動を起こす人が増えるといいですね。

 

『シンクロニシティ』 ~奇跡へと通じる扉は、すでに開いて待っている~

先日書いた記事でもご紹介した本です↓

 

『シンクロニシティ[増補改訂版] 未来をつくるリーダーシップ』著:ジョセフ・ジャウォースキー、英治出版

 

『シンクロニシティ』・・・

共時性。事象間に必ずしも因果で説明できる部分がなくても起こる、二つ以上の出来事の意味深い同時発生。

 

「こんなことってあるの?」

と思えるような奇跡的な出会いが連続して起こった経験、ありませんか?

 

この本は、そんな「シンクロニシティ」についての概説本ではありません。

著者であるジョセフ・ジャウォースキー氏が、

弁護士業を辞めてアメリカン・リーダーシップ・フォーラムを立ち上げる物語が綴られています。

その物語の中で巻き起こった数々のシンクロニシティを、読者は追体験します。

 

読み進めているうちに、強く思いました。

 

 

 

僕もシンクロニシティを体験している・・・

 

 

 

TABLE FOR TWOの東京外大支部を立ち上げ、最初のプロジェクトに取り組んでいる時。

そしてこのブログが立ち上がったきっかけでもある一昨年の自転車の旅の時。

 

こんなに都合良く物事って起こるものなの?

 

自分でも疑ってしまうような出来事が頻発しました。

その中でも最も象徴的である出来事のお話をします。

 

 

 

普通のいち大学生が、

ブータン前王妃にお手紙を送るまでの物語。

 

 

 

僕が42日間の自転車の旅を志したのには、

ある1冊の本が大きく影響しています。

 

『国をつくるという仕事』著:西水美恵子、英治出版

 

著者の西水美恵子さんは、元世界銀行副総裁。

23年間、貧困や悪政と戦ってきた方です。

 

その戦い方に、僕は強い感銘を受けました。

 

途上国に行けば、まずは貧村にホームステイ。

国民の苦しみを自らの身に焼き付けるように体験し、

それを分かっていない政治家に出会えば、

貧しい方々の盾となって「喧嘩をふっかけ」続けてきました。

 

著書の中では、そんな美恵子さんが出会ってきたリーダー達の物語が短編集として綴られています。

著書の教えを一言で表すなら、

 

リーダーたるもの、

草の根を歩き、民の声を聴け

 

です。

その最たる例が、ブータンという国の王族のお話です。

 

村人に「国王の足跡の無い村は無い」と言われるほど、

自らの足で国中の村を回り、一人ひとりの民の声に耳を傾ける国王。

同じように、子育てが一段落した段階で国中を自らの足で歩き回り、

医療の届いていない民のために財団まで立ち上げた当時王妃。

その姿から、国民は王妃のことを「歩くタラヤナ(観音菩薩)」と呼びます。

 

この話を知った時、僕の心の中に想いが芽生えたのです。

 

草の根を歩き、みんなの声を聴こう

 

こうして、僕がずっと関わってきたTABLE FOR TWOの全国のメンバーに会いに、

42日間4000kmの自転車の旅は始まりました。(「歩いて」ない!(笑))

 

旅をしながら、このブログを更新し続けていたのですが、

ある日、旅のきっかけとなった上記の本を紹介する記事を書いたのです。

 

その数日後、1件のコメントがその記事につきました。

 

 

 

ゆ~や君、

心の底からありがとう!
ゆ~や君のエネルギーに脱帽です。
It is not what you do, but how you think about what you do, that changes the world.
おきばりやす!

西水

 

 

 

・・・嘘でしょ?

 

心から尊敬している著者の美恵子さんご本人からのコメントだったのです!

最初は旅の協賛もしてくださった英治出版のどなたかのいたずらだと、本気で思っていました(笑)

 

このご縁から、旅を終えた約1ヶ月後の美恵子さんの講演会にお邪魔し、

ご挨拶させていただける運びとなりました。

 

これだけでも奇跡・・・

でも、奇跡はまだ続くんです。

 

旅が終わってから美恵子さんの講演まで、1ヶ月ほど間がありました。

その間に、改めて影響を受けたブータン王妃のお話を記事に書いたんです。

 

この話を読んでいなければ、

この旅はなかったのではないか・・・

 

と。

この記事が後に奇跡をもたらすとも知らずに・・・

 

そして美恵子さんとの対面の日がやってきました。

感動のあまり、即、握手(笑)

その時、美恵子さんの口からとんでもない真実が語られました。

 

「あなた、この前タラヤナのこと書いてたでしょ?」

 

はい、書きました。

 

「あれを読んだ時ちょうど、私はブータンにいたのよ。」

 

・・・えっ?

 

「そして、その後ちょうど、タラヤナと会ってたの。」

 

・・・

 

「あなたの話をしたら、王妃は涙を流して聞いていたわ。」

 

・・・・・・

 

 

 

「私が仲介するから、王妃に手紙を書きなさい。」

 

 

 

・・・

 

 

 

信じられますか?

 

僕はただ、美恵子さんやタラヤナからもらった勇気や知恵や想いを、

「ただブログに書いただけ」なんです。

 

それを、信じられないことに美恵子さんご本人が拾ってくださり、

もっと信じられないことに、日本海とヒマラヤを超えて王妃の元へ届いたのです。

 

 

 

シンクロニシティ・・・

事象間に必ずしも因果で説明できる部分がなくても起こる、

二つ以上の出来事の意味深い同時発生。

 

 

 

それ以外の何なのでしょうか。

 

『シンクロニシティ』の本を読みながら、

この時の話がなんどもフラッシュバックしました。

 

そして、読み終えた時、ある一つの学びが心に深く残ったのです。

 

 

 

奇跡へと通じる扉は

すでに開いて待っている

 

 

 

あの時、美恵子さんはブータンにいた。

そして、タラヤナに会うことになっていた。

 

それは動かしようのない事実です。

 

あとは、僕が想いを投げ込むだけ

 

扉はすでに、開かれて待っていたのです。

 

きっと、世の中で起きる奇跡のような出来事は全てそう。

見えないけど開かれている扉の向こう側に、

自分の想いを行動にして投げ込んだ時、

扉のこちら側と向こう側は共鳴し合い、

奇跡をもたらすんです。

 

われわれが他人と深くつながり扉がひらいている状態は、
そこにあって、われわれを待っている。

p.271

 

教わる者の用意が整ったら ? 師は現れる

p.306

 

全体のある部分でなされる取るに足りないように見える行動は、
遠く離れたところで現れる非局所的結果をつくり出す。
目には見えないつながりは、離れた、驚くような場所で効果を現すのである。

p.222

 

自分はより大きな全体の一部であると信じて行動し、
その一方で柔軟性や忍耐力や鋭い認識力を持ちつづけると、
「手に入るなどとは誰も夢にも思わないような、
あらゆる種類の思いがけない出来事や出会いや物質的援助」
が手に入るようになるのだ

p.143

 

一心に取り組むことを決意すると、
その瞬間に神意も動き出すのである。

p.207

 

心から本当に何かを一心に望んだら、
宇宙のすべてが夢の実現を助けてくれる

p.364

 

 

 

■自分が「大きな繋がり合う全体」の中の一部であるという自覚を持つこと

■一心に取り組む決意をすること

■すでに開かれている奇跡への扉を信じ、些細でもいいから行動を起こすこと

 

これらを満たせば、またシンクロニシティが起きるんじゃないかと、

この本を読んで強く感じています。

 

これから旅に出ようとしている人、

旅の途中でつまずいている人、

 

ぜひ一読してみてください。

 

『シンクロニシティ[増補改訂版] 未来をつくるリーダーシップ』著:ジョセフ・ジャウォースキー、英治出版

 

あなたの人生にも

素敵なシンクロニシティが起きますように

扉はすでに開いて、あなたを待っています。

 

『ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来像〈2025〉』 ~2025年を明るく生きる為に必要な3つのシフト~

今日紹介する本は、

ついこの前まで(もしかしたら今も)書店で平積みにされていたこの1冊です↓

 

 

 

『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』著:リンダ・グラットン、プレジデント社

 

 

 

著者のリンダ・グラットン氏は、

ロンドン・ビジネススクールの教授であり、

英国タイムズ紙が選ぶ「世界のトップ15のビジネス思想家」でもあります。

 

そういう意味で、

この本の理解はワールド・スタンダードだと言えるかも知れません。

 

自分の将来像、家族の将来像、大切な人の将来像・・・

 

これらを考えている人たちは、

ぜひぜひ読んでみてください。

 

 

 

[こんな人にオススメ]

■現在本格化中であろう「就職活動」において、2025年までに起こるであろう変動と働き方の将来像を知っておきたい人

■書店にたくさんある日本・世界の「将来図」に関する本でどれがいいか迷っていた人

■「時代の速過ぎる変化に置いてかれる・・・」と将来が不安な人

 

 

 

[概要]

この本で書かれている内容は、主に下記の4つです。

 

(1)未来を形成する5つの要因

(2)5つの要因それぞれの中で現れるであろう32の具体的現象

(3)上記の(1)(2)によって、「漫然と迎える未来の暗い現実」を迎える人々と、「主体的に築く未来の明るい日々」を手にする人々を、架空の人物を設定してありありと描いたストーリー

(4)(3)の後者の「明るい未来」を手にするために必要な3つの働き方のシフト

 

 

(1) 未来を形成する5つの要因

箇条書きを見てもピンとはこないかもしれませんが・・・

 

====================

?テクノロジーの変化

?グローバル化の進展

?人口構成の変化と長寿化

?社会の変化

?エネルギー・環境問題の深刻化

====================

 

5つそれぞれのカテゴリーの中で、

起こるであろう具体的な現象が32個紹介されているのですが、

全部書くとネタバレになるので(笑)、

そこは実際に本を手に取ってみてください。

 

32の現象から自分に当てはまりそうなものを選び、

そうして選んだものに対して適切に対応できるか否かが、

下記のいずれの未来が訪れるかの分かれ道だと言います。

 

『漫然と迎える未来の暗い現実』

『主体的に築く未来の明るい日々』

 

(3)の「それぞれの未来像を描いた架空のストーリー」も、

実際に本を手に取って読んでみてください。

 

 

(4)3つの働き方のシフト

後者の明るい未来を選び取るためには、

本書のタイトル通り、

仕事感の「シフト」が必要になってきます。

 

?「広く浅い知識しか持たない『ゼネラリスト』」から、「高度な専門技能を連続して備えてゆく『スペシャリスト』」へのシフト

?「孤独に競い合う生き方」から、「他者と協力し合いながら起こすイノベーション」へのシフト

?「大量消費志向のライフスタイル」から、「意義や情熱を感じる経験を重んじるライフスタイル」へのシフト

 

 

 

ちなみに、?に関連して、

高い専門性を習得するために必要な時間は、

おおよそ10000時間だそうです。

1日3時間訓練して、9~10年かかる計算です。

 

本書が語る2025年まで、あと10年ちょっと・・・

 

スタートするにはいい時期かもしれませんね。

 

『世界を変える偉大なNPOの条件 圧倒的な影響力を発揮している組織が実践する6つの原則』

今日紹介する本は、

ビジネス書として世界的ベストセラーである、

あの『ビジョナリーカンパニー』の社会セクター版とも言える良書です。

 

 

 

『世界を変える偉大なNPOの条件 圧倒的な影響力を発揮している組織が実践する6つの原則』 著:レスリー・R・クラッチフィールド他、ダイヤモンド社

 

 

 

【こんな人にオススメ】

NPO関係者(経営者・スタッフ・ボランティア)で、社会により大きなインパクトを与えるにはどうしたらいいか考えている人

NPOなどに寄付する人で、本当に寄付したお金を高いレバレッジをかけて利用してくれる組織を見極める目が欲しい人

NPO業界の研究をしている学生で、世界的に通用する参考書を求めている人

 

 

 

【概要】

この本で書かれている内容は下記の3つです。

 

(1)世界に大きなインパクトを与えている12のNPOの紹介

(2)それらの団体に共通する6つの原則の紹介とその適応方法

(3)この研究をどのように進めたかの解説

 

 

(1)12のNPOの紹介

本書に登場する12の団体の名称と事業内容・使命をざっくり↓

 

=============================

■アメリカズ・セカンドハーベスト
※食料品配給による国内の飢餓の解決

■予算・政策プライオリティセンター
※低・中所得者に影響のある国や州の政策を研究・提言

■シティイヤー
※市民による奉仕意識の醸成

■エンバイロンメンタル・ディフェンス
※全ての人の環境権(良好な空気・水・食品・生態系)を守る

■エクスプローラトリアム
※科学・芸術など、人間をとりまく世界に対する好奇心を喚起する博物館

■ハビタット・フォー・ヒューマニティ
※世界から貧しい住宅とホームレスをなくすことを目指す住宅支援

■ヘリテージ財団
※保守的な公共政策を形成・推進するシンクタンク

■ラ・ラザ全米協議会(NCLR)
※ヒスパニック系アメリカ人の機会向上

■セルフヘルプ
※金融の恩恵を受けづらい人たちが家などを所有するための融資

■シェア・アワー・ストレングス
※特に子どもの飢餓を亡くすために大規模なイベントを開催するなど

■ティーチ・フォー・アメリカ
※新卒の優秀な若者を教育機会の少ない学校へ派遣することで、教育機会の不均衡解消とリーダーシップの醸成

■ユースビルドUSA
※低所得家庭の若者の自立支援

==============================

 

 

(2)それらの団体に共通する6つの原則の紹介とその適応方法

6つの原則とは、以下のものになります↓

 

==============================

■政策アドボカシーとサービス提供の両立

■市場の力を利用する

■熱烈な支持者(エバンジェリスト)を育てる

■NPOのネットワークを育てる

■環境に適応する技術を身につける

■権限(リーダーシップ)を分担する

==============================

 

これだけ見ると「なぁんだ、そんなことか」となるかもしれませんが、

実例を交えながら解説を読むと「なるほど!!」に変わるはずです。

 

 

(3)この研究をどのように進めたかの解説

ビジョナリーカンパニーでも必ず本の終わりに研究方法を事細かに説明しています。

同じように本書でも、

 

■社会セクターにおける「大きな影響力」をどう定義したか

■その基準を満たすNPOをどう選んだか

■選ばれたNPOの事例研究をどう行ったか

■研究した複数の事例に共通するパターンをどう抽出したか

 

が丁寧に説明されています。

 

 

 

【その他】

この本は、英エコノミスト誌が選ぶベスト10冊(2007年)にランクインしています。

この本の内容を最も端的に表わしているのは、訳者のあとがきの次の文章だと思います↓

 

社会への影響力を高めるための六つの原則は、

実は自分たちの組織そのものではなく、

政府や企業、他のNPO、一般市民など

社会のあらゆる部門を動員するそのやり方にあるのだという。

偉大さとは、NPOが、

組織の外の世界に対していかに働きかけるのかという部分に関係が深いのである。

 

自分のNPO内部の充実化だけではなく、

外部を次々に巻き込んでより大きなインパクトを生み出すことですね。

 

ちなみに、この本がいかに優れているかは、僕なんかの書評を読むよりも、

次の2人の日本の偉大なNPO経営者の書評を読んでいただけると分かると思います。

 

【NPO法人フローレンス・駒崎さん】
http://komazaki.seesaa.net/article/284038132.html

【NPO法人クロスフィールズ・小沼さん】

「専門書」に分類されるかと思うので、

ハードルはちょっと高いかもしれませんが、

NPO関係の方々はぜひ一読してみてください。

 

『悼む人』 ~死生観と、「悼む」と「痛む」の違いについて~

今日は本の紹介です↓

 

 

 

『悼む人』著:天童荒太、文藝春秋

 

 

第140回直木賞受賞作です。

 

 

 

日本中の「死」を訪問し、死者を「悼む(いたむ)」旅を続ける主人公坂築静人(さかつきしずと)。

 

事件の残酷な描写を得意とする雑誌記者、蒔野抗太郎(まきのこうたろう)。

ガンにより余命宣告を受ける静人の母、坂築巡子(さかつきじゅんこ)。

ある理由により夫を殺し、とりつかれてしまった、奈義倖世(なぎゆきよ)。

 

三人の視点から描かれたそれぞれの客観的な静人像が、一つの物語に収束していきます。

 

静人は見ず知らずの人の死に対して、独自の「悼み」を行います。

それは、死者に関する3つのことを周囲から聞き出し、

それを胸に刻み「覚える」ということ。

 

◎その人は、誰に愛されていたか

◎その人は、誰を愛していたか

◎その人は、どんなことをして人に感謝されたか

 

 

 

考えさせられるのは、静人は「悼む相手」を選ばないということ。

自然死であっても、殺人であっても、事故死であっても・・・

死因は関係ありません。

善人であっても、老人であっても、極悪人であっても・・・

人を選びません。

そこに「悼む」ことのできる死があれば、全て「悼み」ます。

 

これって、なんでできると思いますか?

 

1人の死を受け入れることだけで人は精一杯。

そもそも、受け入れることなんてできるのか。

それでも静人が多くの人の死を悼み続けることができる理由は、

ある意味「感情移入しない」からなんです。

静人のこんなセリフがあります↓

 

殺人事件や、酔っぱらい運転などの悪質な交通犯罪には、

感情的にもなります。

でも怒りや悔しさをつのらせていくと、

亡くなった人ではなく、

事件や事故という出来事のほうを、

犯人のほうを、

より覚えてしまうことに気がついたんです。

たとえば、亡くなった子どもの名前より、

その子を手にかけた犯人の名前のほうが先に浮かぶ、

というようなことです。

亡くなった人の人生の本質は、死に方ではなくて、

誰を愛し、誰に愛され、何をして人に感謝されたかにあるのではないかと、

亡くなった人々を訪ね歩くうちに、気づかされたんです。

 

静人自身も旅の始めは苦しむんです。

多くの死に感情移入してしまうことで、

死にとりつかれたような状況に陥ります。

旅を続けていく中で彼があみ出した「悼み方」が、

死の悲惨さに胸を痛めるのではなく、

上記の3つを胸に刻む方法だったんです。

 

これを読んでて思ったのが、

「悼む(いたむ)」と「痛む(いたむ)」は違う

ということです。

 

「痛む時の目の向けどころ、

それはたぶん、悲惨な事故そのものや犯人への憎しみ、

もっと言うと、

そういうものに苦しんだり悲しんだりしている自分に向いてしまっているんじゃないかと。

本当に死者への想いを、その人への愛情や感謝を胸に刻もうとする時、

心は大切な相手に向いて、「悼む」ことができるのかもしれない。

 

といっても、簡単ではないと思ってます。

「痛み」は最初の時点で必ず通過しなければいけない地点で、

すぐに消え去るものでもないと思います。

悼みながら、痛みも伴い続けるかもしれない。

 

 

 

・・・

 

 

 

死生観なんて、一朝一夕、一聴一読で悟れるもんじゃないですよね。

でも、考え続けることは大切だと思ったので、

暫定的な頭の中ですが書き出してみました。

 

一つ言えるのは、

「全ての死は、どこかの誰かにとってものすごく特別な人のもの」

ということです。

 

そう、特別な人です……

普通の主婦なんていません、

一般市民という人間もいません……

特別な人が死んでいます、

特別な人が殺されています。

 

全ての死が特別ということは、

裏を返せば全ての死が平等ということかもしれません。

 

まだ子どもなのにどうして、とか……

小さな子どもがたくさんいるのに、とか……

そして、感情を揺さぶられるような際立った事情のない死者を、

いつのまにか差別とは言わないまでも、

区別しそうになっているんです。

 

でも、この無差別感こそが、

生者の精神を苦しませるんだとも思います。

 

或る人を悼んでおきながら、

じゃあ次の人は悼まなくてもいいのかという、

強迫的なな想いにつき動かされていたんです。

家族から、死にとりつかれているようだと言われましたが、

そうかもしれないと思いました。

投げ出そうとしたことは何度もあります。

でも、本当にいいのか、

この死者を、あの死者を、

忘れて生きていけるのかと、

ささやきかけてくる声があり、

胸苦しさに眠ることもできません。

 

みんなを特別に想う気持ちと、

精神の限界とのバランス、

それがどこにあるのかは知りません。

 

でも人間には、

その精神の限界に達しないためのリミッターが備わっていると思います。

 

食えるか食えないかの問題としてしか扱われない、動物の放射能汚染。

その人の生死への心配よりも遅延の苛立ちにしかならない、人身事故。

大きな数字に惑わされて「ひとつずつの死」を想像できなくさせる、大量虐殺。

 

きっとこれら全てに心を痛めることは、人間のキャパ的にできなくて、

防衛本能というか、そういうものが心を麻痺させてくれているんじゃないか。

全て感知してしまったら壊れてしまうから。

 

麻痺自体を咎めることも、解き放つこともできないかもしれない。

それでも忘れてはいけないのは、

そこにある「死」は麻痺した自分の心は打たずとも、

どこかの誰かにとってものすごく特別な存在の喪失だった、ということ。

どんなに麻痺しても、そのことだけは決して忘れずにいたいです。

 

「1人の死」は「その人1人」の中では完結せず、

その人に関わった多くの人たちに大きな影響を及ぼします。

逆に言えば、

「1人の生」も「その人1人」の中には完結せず、

その人に関わる多くの人たちに大きな影響を及ぼします。

 

生きても死んでも、「1」が「1」で完結することはないんです。

 

半人前とか言うけれど、

「1人」には「1人分」以上の価値があります。

「何十年に一度の逸材」とか言うけれど、

全ての人が「宇宙史上一度しか生まれてこない逸材」です。

 

そういうことを、ずっと心の中に留めておきたいです。