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隠された悲鳴

隠された悲鳴

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ユニティ・ダウ(著), 三辺律子(訳)

価格 2,200円(税込)
頁数 336頁
判型・製本 四六判 並製
発売日 2019/08/26
ISBN 9784862762894
発行 英治出版

内容紹介

「果敢に真相解明に挑む主人公の知恵と勇気とど根性に感服」宮部みゆきさん/読書委員が選ぶ『2019年の3冊』・読売新聞(2019年12月22日)

なにが彼らを"怪物"にしたのか

ボツワナの現職女性大臣が
実際の儀礼殺人事件をもとに描いた
驚愕のアフリカ発サスペンス。

ある午後、ある村で行方不明になった12歳の少女。
村では「儀礼殺人」ではと噂が流れるが、警察は野生動物に襲われたのだと結論づけた。

5年後、その村に赴任した若者が、ひょんなことから事件の真相を追うことになる。警察、政治家、実業家、校長、村人、被害者の母…
何重にも折り重なった嘘と秘密の先で、彼女が見たものとは―。

ラスト10ページ、あなたの耳から悲鳴が離れなくなる。

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【書評続々! 】

現代ビジネス(2019年12月29日)「文学なら世界はONE TEAM!? 2019年の海外小説ベスト12」/翻訳家・鴻巣友季子さん
Penが選んだ、今月の読むべき1冊(2019年12月16日)
北海道新聞(2019年11月24日付)書評/法政大学准教授・粟飯原文子さん
週刊新潮(2019年11月14日号)書評/翻訳家・鴻巣友季子さん
毎日新聞(2019年11月27日付)書評/書評家・倉本さおりさん
婦人公論(2019年11月26日号)書評/詩人・白石公子さん
クロワッサン(2019年11月10日号)書評/書評家・瀧井朝世さん
サンデー毎日(2019年10月27日付)書評/少子化ジャーナリスト・白河桃子さん
読売新聞(2019年10月20日付)短評/詩人・川口晴美さん
翻訳ミステリー大賞シンジケート(2019年9月27日)書評/大木雄一郎さん
朝日新聞(2019年9月21日付)書評/朝日新聞記者・久田貴志子さん

【レビュー】
忌まわしい因習を白日の下に晒すのが目的の小説だとしたら、物語として面白すぎる。
登場人物たちの躍動感、キャラクターとしての魅力がこんなにも溢れていなくとも、充分目的は果たせているはずだ。
それにサスペンスフルな筆運びの巧みさが、これほどまでに発揮される必要もないだろう。

この小説は、告発ではない。行動なのだ。
自分だけでなく、読者を行動に導くために著者は、持ちうる手段のなかから確信を持ち、想像力を駆使して「書く」ことを選んでいる。
フィクションがアクションになる。
―ブックスルーエ 花本武さん

ラストの独白が衝撃的でした。ほのかに垣間見えた光が踏み潰され、悪が罰を逃れるさまを目撃し、これまでに飲み込まれてきた悲鳴が何重にも聞こえるような思いがしました。
けれど、若者たちが、無力な村の人々が、不正を前に立ち上がったということ。この厳しい現実において、そのことはそれ自体が希望なのだと思います。
―梅田蔦屋書店 洋書担当コンシェルジュ 河出真美さん

「儀礼殺人」が実際に起こる場所に住んでいる主人公の心情は計り知れませんが、そんな環境下でも、大きな権力にひるむことなく立ち向かう彼女の勇姿がとても素敵でした。
そして、ラストの激白が、衝撃でした。
―丸善お茶の水店店 文芸担当 細井百合さん

権力を手に入れるために儀礼殺人が行われるいう信じがたい世界。
けれど当たり前を当たり前として通り過ぎることのできない者の心の傷や、ヒロインが突き当たる壁によって、これは日本の私たちにも通じることではないかと思いました。
―ジュンク堂書店 池袋本店 文芸担当 小海裕美さん

ボツワナの事は全く知らなかったものの、人々の心情など共感できる要素もたくさんあり、読む上で全く支障にはなりませんでした。
(ストーリー・文章自体も、小説(エンタテイメント)として とても面白かったです)
女性の下半身を切り離して持ち歩くだとか、 儀礼殺人だとか、行われている事の惨さに言葉を失いました。
まっとうな正義感を持った主人公達がやっと一歩前進したと思ったら、 まさか最後にあんな展開が待っているだなんて…
巨悪の前に出来る事は何もないのか…と私まで打ちひしがれました。
「何が彼らを"怪物"にしたのか」という言葉が 読了してからは更に重く感じられます。
ちょっとまだ自分の気持ちが上手く整理できていませんが、 とにかく必読の一冊でした。
―紀伊國屋書店本部 文芸書担当 佐貫聡美さん

アフリカの現在と伝統社会を舞台に、人間の価値や生きる意味、繋がり、正義、悪、弱さ、強さなどの普遍的なテーマが、エンターテインメントになっていて、興味津々で読み切りました。
事件に立ち向かう主人公チームが、すべて被害者と同じ女性で、様々な意味で虐げられている人々だったのも印象的です。
―50代男性

本を手にした帰りの新幹線で夢中で読んで、帰宅後も読み続けてあっという間に読み終わりました。
「儀礼殺人」がテーマの小説、ということで、暗い話を想像していたけど、壮大なアフリカの景色と野生動物のスリルも味わいながら、「権力」「欲望」「正義」「人間の多面性」を考えさせられる内容でした。
―40代女性

読むのにあたってアフリカ知識はほとんど不要だと思います。邦訳で300頁ちょっとの作品ですが、あっとういう間に読めてしまいました。
「少女に恨みがあるわけではなかった」という不穏な書き出しから、どんどん話が展開していきます。
―30代男性

目次

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著者

[著者]
ユニティ・ダウ (Unity Dow)
ボツワナの現外務国際協力大臣。1959年にボツワナの伝統的な村で生まれる。同国女性初の最高裁判事として、弁護士として、女性や子ども、先住民、AIDS患者、LGBT等の人権問題について、先駆的な取り組みをしてきた。
ボツワナ国内にかぎらず、国連ミッションのメンバーや政府のアドバイザーとして、ルワンダ、シエラレオネ、ケニア、イスラエル・パレスチナの人権問題にも関わってきたほか、2009年にはコロンビア大学の客員教授も務めている。2011-2012年のWomen of the World Summitでは「世界を揺るがす150人の女性」の1人に選ばれた。本書を含め5冊の本を執筆。西洋文化と伝統の狭間で揺れる人々、人権や貧困をテーマにしている。

[訳者]
三辺律子 (さんべ・りつこ)
翻訳家。東京生まれ。聖心女子大学英語英文学科卒業。白百合女子大学大学院児童文化学科修士課程修了。訳書に『龍のすむ家』(竹書房)、『サイモンvs人類平等化計画』(岩波書店)、『エヴリデイ』(小峰書店)、『オリシャ戦記 血と骨の子』(静山社)、『最後のドラゴン』(あすなろ書店)など多数。海外文学を紹介する小冊子BOOKMARKの編集もしている。